第33話 廃墟2

 見渡す限り、一面が朽ち果てた集落だった。


 茅葺きの屋根は腐っていて、ぼろぼろの大穴を開けているものはまだマシ。ひどいものに至ってはすべてなくなり、屋内がまる見えになっている。

 その屋内もまたひどい。茶色にすすけて見えるのは砂埃が住居いっぱいに入り込んでいるからだろう。

 視線を移し、家々の間の道を見れば、崩れた岩が転がっている。かつては仕切りとして地面と垂直に積み上げられていたのかもしれない。


 砂風を避けるための布を口から首に巻き付け、遠く太陽を西にしながら北へ向けて進んでいくのだった。

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