第27話 地元のお祭りが開かれている神社の前を通りかかった

 ドンドン。

 学校の帰りにぶらぶらと寄り道をしていたところ、何やら聞き慣れない音が耳に入った。空っぽになっている腹のなかで、暴れるような音だ。あ、太鼓だろうか。

 ピーヒャラヒャラ。

 続いておどけたような音が続く。金属楽器ほど耳には響かない、どこか柔らかさを感じる音色だ。たぶん、笛だろう。

 それぞれ、まだここから距離があるのか、音は小さい。


 でも、その音に吸い寄せられるみたいに、普段着や浴衣姿の人たちが同じ方向に歩いて行く。みんな笑顔だ。話している内容はわからないけどとても明るい話題っぽい。

 

 おそらくはお祭りだろう。

 まだ出店がちらほら見える程度の場所だ。でも確実に遠くから活気を感じる。というか人の集まりやら熱さを感じる。

 遠くを眺めれば、行列……とは呼べないか。あまり秩序のとれていない獣の群れのような人だかりができている。

 神社に通じる道で、いつもは閑散としているはずなのに。まるで移住してきた人が押し寄せて、様変わりしてしまったみたい。


 太鼓や笛の音に負けず、集まった声は周囲の空間を震わせているようだった。


 すごく賑やかだな、とおれは思いつつも、大勢の人があまり得意ではないので、そっとその場を離れたのだった。



検索単語

※おどけた

※行列

※人だかり

※閑散

※様変わり

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