第19話 ガルナの塔(ドラゴンクエスト3より)

 ガルナの塔を遠くから見て、さらに近づいて、そして壁面を触ってみた。

 印象は神秘的の一言だった。


 いまにも塔のどこかが崩れてしまいそうな外観をしているのに、いざ触ってみると悠久の時を同じ姿で過ごしてきた事実が、指に伝わってくる。

 まるで塔のほうから語りかけてきたようだった。


 ちらりと射した太陽光につられて上を見上げた。

 高い。圧倒的だ。


 地上6階建て。塔の迷宮としては世界最大級の構造だ。

 普通の建造物は1階ごとの高さが均等になっているが、外からではそれすらわからない。階と階の継ぎ目を確認することができなかった。ひょっとしたら、階が進むにつれて高くなっているのかもしれないし、低くなっているかもしれないし、またどちらでもない可能性もある。


 煉瓦を積み上げて造られたのであれば赤茶色のはずだが、薄灰色が空に向かってそびえたっている。手触りも煉瓦のものではなく、鋼鉄に似たなめらかさに近かった。いったい、どんな材料で造られたのが見当もつかない。


 ひんやりとした手触りにはっと意識を戻され、視線を壁面に貼り付けたままだった片手に戻した。



検索単語

※悠久

※構造

※均等

※継ぎ目

※見当

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