第12話

練習します。駄文です。


 目の前を見渡しても入り口が見当たらなく、この先は森かと思える場所だった。

 この近くに公園があるとは信じられなかった。

 公園に隣接する博物館とやらがどんなものなのか、想像もつかなかった。

 しかし恐れ恐れ木々を抜けてみれば広大な敷地が広がっていた。前方向にも左方向にも右方向にも広がっていた。正直、ここまで先の見えない公園は初めてだった。畏怖すら感じた。


 目的地は向かって右方向だと事前の調べでわかってはいた。

 しかし、歩けども歩けども同じような景色がつづく。下は灰色のコンクリートで綺麗に舗装されている。森かと思っていた木々は暴風から敷地を守るものだと察する。時折、なにやらよくわからない芸術作品のような物体があった。普段なら目にすれば珍しいと思える噴水が、とても身近な存在に感じる。目的地がまったく見えないことと胸の苦しみは、無関係ではあるまい。


 木々がおおきく道を空けるように開けた場所があった。真っ直ぐに進んでいる最中に、左側に見えた。あまりにも唐突になにもなくなったので、自然と目に入った。

 いくつもの柵が、こちらに向かって伸びるように並べられていた。とても長い、と感じた。

 それでも横に開けた場所の印象に比べれば可愛いものだった。ここは大都会のど真ん中に近いといっていい。それなのにこれほど広大な敷地を有し、空まで広く感じさせられるなんて、もう見事としか言い様がない。

 そこは動物園のようだったが、用事はないので左に向けていた視線を前に戻す。足を進める。


 本当に先の見えない歩みだった。

 もしや事前の調べが間違っていたか、と思えるほど歩いた。

 そして、ようやく目的地らしき場所が小さく姿を現した。白くちいさな箱の集合体、というのが遠目での印象だったが、近づいていくと緻密な造りの建物だとわかった。いくつもの溝や彫りが、壁面に施されているようだった。すくなくとも平べったいだけではない。よくわからないが、ひょっとしたらレンガ造りをイメージして建てられたのかもしれない。


 いよいよ目的地の敷地に足を踏み入れる。

 ここからは公園ではなく、博物館。展示物の『文字情報』はわかっていても『視覚情報』でびっくりさせてくるのが面白いところだ。

 ぽっかりと開いた入り口を見て、改めて建物全体を見て、足元に視線を落とす。ちいさく丸い染みが灰色の床の色を深くしていた。

 よし、と気合いを入れて、身を未知の建造物へと放り投げてしまうのだった。

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