第10話

練習します。駄文です。


 野球もできる広場が併設された大きめの公園だった。

 遊具も充実しているといっていい。一度に乗れるブランコの台数は2つで4人まで。近くにあるシーソーは2台。遠目にすると太い網などを用いて昇り降りを強いられるエキサイティングなすべり台なども当たり前にあった。なお、健康器具と思われるものまで揃っている。


 しかしそれらはくたびれていた。傍目から見ても手入れが行き届いているとは言えない。

 なぜかと言えば利用者が極端に減ってしまったからだ。

 単純な話だ。

 公園の近くに住んでいた大勢の子どもたちは、みな大人になってしまった。大人になってこの地を去ってしまった。そして、新たに入居してくる世代に、子どもはいなかった。


  †


 ブランコにはさびが浮いていた。塗装もはげていた。

 シーソーも似たようなもので、揺らしてみればぎちぎちと不穏な音を立てる。

 あちらはどうか、と材木とステンレスでできた健康器具まで動いてみた。材木の一部は削れており、すこし強く叩けば簡単に壊れそうだった。棒状のステンレスは、空からの恵みでもある水滴で表面を不気味な模様に塗り替えられていた。



 まだ公園ができて間もないころ。

 当時は閑散としていたが、いまでは大人たちが野球をして賑わう広場。

 当時は賑わっていたが、いまでは誰も利用者がなく、周囲の木々や地面から生える雑草や空気に雨にと晒されて劣化が進んでいく遊具場。


 残酷なまでに明暗が分かれ、隣り合わせとなったままの公園と広場。

 時代の波に飲みこまれて有りようを変えてゆくのは、人間だ。しかし、変わっていくのは人間だけではないということだ。

 いずれは誰もいなくなるかもしれない。

 公園は、静かに、歳を重ねている。

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