第4話 迷宮へとレッツゴー(棒読み)
すいません、今日の投稿を忘れるところでした( ̄▽ ̄;)
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その翌日、とうとう
迷宮に向かうにあたって王女より『マジックポーチ』なる、見た目より遥かに内容量の多いポーチと、その中に入っている非常食や高品質装備を受け取っていた。
この時に予想通りの王女の対応(主に中に入っている道具や態度関連)で少しイラッときたが、スルースキルが鍛えられたのだろうか、どうにかやり過ごした。
1ヶ月で良く成長したなぁと思う。精神的に。
「ではこれより、普段私達が訓練に使用している迷宮へと行く。しかし、訓練とは言え十分に危険が伴うことを理解して欲しい」
「「はーい」」
グレイさんの言葉にまるで修学旅行に来て浮ついている生徒のような声で答える勇者達。
いや、真面目に聞けよ。見ろよグレイさんを。若干困ってるじゃないか。
冷静に観察していると何とも恥ずかしくなる。浮かれているほかの奴らが羨ましく感じるよ。
こんな勇者達ですいませんホント……。
◇◆◇
騎士団が通っているとはいえ、舗装されていない道。更に森のジメジメとした感じが、快適な日本で過ごしてきた俺達にはなかなかきつかった。
おしゃべりしやすい女子なんかは口々に愚痴をこぼしていたが、こちらに来て精神的にも成長しているのか、歩く速度を落とすことは無かった。
まぁ、そもそも基礎スペックが高いので、このくらいの道は本来苦にすらならないのだが。
森を進むことおよそ1時間、目的地に到着した。
肉体的には疲れていないが精神的に疲れている奴が多いのか、迷宮の入口を見て『ようやくか』といった言葉を漏らしていた者が多かった。
「では、これよりダンジョンに入る。今日は10階層あたりまで行ってみるか。レベル的には10から20辺りだと思うが、大丈夫だな?」
その言葉に勇者は頷く。レベル10、20なら多分戦っているうちにレベルアップするので十分なはずだ。今回で俺もまたレベルアップしたいしな。
グレイさんが先頭で中に入る。その後ろを拓磨、俺、樹と続く。この辺りはクラスというか学年の不文律で、拓磨は先頭、その後は俺や美咲等のいつものメンバーが続く。
誰も疑問に思わないのは地球の頃からの常例だからだろう。
◇◆◇
「『インフェルノ』!!」
モブAが叫ぶと、突き出した右手から炎が吹き出し、前方に居たゴブリンを焼き尽くした。
ツッコミを入れるようだが、『
「ヒュ~、さっすが! インフェルノの力は伊達じゃないなぁ」
「ニヤニヤするな! 名前が思いつかなかったんだから仕方ないだろう!」
モブBの茶化しにモブAが言った通り、あの程度では
幾ら想像で魔法を使えると言っても、俺達はまだ魔法に触れて一ヶ月と少し。勇者の力を含めても、せいぜいが先ほどのような魔法に留められてしまう。
これは魔法のレベルは勿論、主に魔力量や魔力操作によるものだと思われる。
魔法を扱う上で、実は魔力操作は必須なものだ。
魔法とは想像を具現化するものだが、それには魔力が必要。じゃあただ魔力があればいいのかと言うと、それは違う。
今モブAが使ったインフェルノもどきは、まぁ、普通と照らし合わせたら強いのだろう。勇者だけあって、成長力は高い。
スキルのレベル的に言えば、大体4辺りだと思われる。
だが、想像して魔力を消費して発動するだけでは、今のモブAにはあれが限界のはずだ。
なら何が足りないのかと言うと、それが最初に言った魔力操作へと繋がる。
本人の技量もそうだが、魔法とは、『
これは要するに無意識下のもので、慣れた動作や簡単な動作は無意識でもできるように、魔法も慣れた魔法や簡単な魔法は、魔力操作が無意識で出来てしまうということだ。
一方
威力の調節、範囲、効果、発動地点なんかを全て魔力操作で調節しながら魔法を組み立てて、初めて発動が可能になる。
勿論難易度は高い。本来ミシンで糸を通すところを、手作業で全てやるようなもの。時間はかかるし少しの失敗で作品として欠陥することもあり、やり直すには最初からという条件が付いているのだから。
だが仕上がりはその分出来がいい。より高位の魔法を扱うためには後者のやり方が必須なのだ。
だがこれは、魔法のレベルや技術が上がるにつれて、自然と前者のやり方で出来てしまうために、あまり重要視されていない。
だが、
魔法の発動速度はやはり落ちるが、前者と後者では魔法の効果や多種性も段違いだった。
前者は魔法の発動速度は早い。とは言え基本みんな前者を使っているし、詠唱時間もあるのでこれを早いと感じることは少ないだろう。
後者はやはり魔法の発動速度が遅い。無詠唱スキルと魔力操作スキルのお陰である程度補正が入っている俺なら魔法名を叫ぶぐらいで済むが、他の者だったら通常の詠唱に加えて魔法名を叫ぶ時間+数秒かかると思われる。
それほど、手動で魔法の構成を組み立てるというのは難しいのだ。
しかし、威力や範囲はバラつきこそあるが増加し、前者のやり方では発動できないような難度の高い魔法も、後者のやり方なら問題なく発動できる。
数値でいえば、魔法のレベルを2程底上げしているようなものと感じる。
なら何故このやり方をみんな知らないかと言うと、単純に俺達はまだこちらに来て1ヶ月と少し。
いくら勇者と言えどその短期間で出来るほど生易しい難易度ではない。実際俺も会得するのに半日
俺が知っているのは、日頃から図書館に入り浸り、本を読み尽くしているからと言えよう。
効率的にもマイナーな方法ではあるが、自分の限界をひとつ引き上げることが出来るのは、とても有用だ。
そんなことを考えていると、先頭が進み出した。俺も一旦思考を隅に置き、現在へと意識を戻した。
今の階層は3階。出てくるモンスターはゴブリンにコボルトといったRPGでも雑魚中の雑魚のような奴らばかりだった。
レベルも5前後で、初期ステータスが高い勇者の敵ではなかった。
しかし、やはり勇者はファンタジー要素に憧れていたようだ。自分の好きな魔法を使ってゴブリンを蹂躙するものが多く、武器を使っている者はあまり居ない。まぁ、魔法の方が楽だし派手だし、仕方ないとは思うんだがな。
敵を殺すことに関しては問題ないようだが、感触に抵抗を覚えないのだろうか?
少なくとも武器を手に戦っている者は吐いたりしていない。この1ヶ月間でそこまで精神的に成長したのだろうか。
俺が初日に葛藤したにも関わらず、周りの方が精神が強いと思うと、釈然としない。
それとも、やはりゲーム感覚の者が多いのだろうか。
今回の迷宮の攻略手順は、勇者それぞれを6人のパーティーに分け、基本的には全員で行動しつつ、敵が出てきたら第1パーティー(俺達の班)から順に敵を排除していき、全員の戦力向上を図るというものだ。
とはいえ魔物がそんな頻繁に出るわけもなく、ローテーションは一階層で1週も出来ない。下層に行くほど敵は強く多くなるらしいので、そこに期待するしかあるまい。
そのせいで俺もまだレベルは2しか上がっていない。
勇者を2組ぐらいに分けるべきだったろ、と心の中で愚痴を零しつつも、足取りだけはしっかりとして、俺はついて行った。
◇◆◇
「よし、ここで休憩だ! 1時間の休憩の後、引き返すことにする!」
「「は~い」」
今回の返事は適当というより疲労から来ていると思われる。流石に10階層までノンストップで移動するのは疲れたらしい。
かくいう俺も若干疲れている。これは精神的な疲れだな。魔物をあんまり倒せなかったから、レベルも全然上昇しなかった。そのせいで少しストレスが溜まっているらしい。
「なんか不満そうな顔をしてるじゃんよ刀哉」
「分かるか? 消化不足というか、不完全燃焼なんだよ」
「まぁまぁ、今日は我慢しようぜ。俺も本音を言えば少し身体を動かしたいんだが、いま派手に動いて帰りに影響が出るのは嫌だからな、割り切ろう」
「……そうだな、また今度にするか」
残念そうに首を振る樹に、俺も同意する。別に俺だけが不満な訳ではないのが救いってところだ。
その後、俺達は気を紛らわすために、拓磨達も加えて5人でしりとりをしたのだが、結果は天然要素が入っている叶恵の負けだった。
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