第2章

第1話 1ヶ月間の報告



 待たせたなぁみんな、俺だ。


 唐突だが、実はあれから───スキルを取得した日から───1ヶ月程経った。


 ついては、これからその間に起こったことの報告をしようと思う。


 今更だが、俺は一体誰に喋っているのだろうか? そこが不思議だ。毎回解説口調になってしまう癖は直した方がいいのかもしれない。

 まぁそのお陰で他人へと説明するのが上手いのかもしれないが……。


 そんなどうでもいい思考はさておき、まずステータスの報告。現在俺のステータスは以下のようになっている。



───────────────────


 夜栄刀哉 17 男

 レベル5


【生命力】900

 【魔力】1100

 【筋力】300

 【体力】310

 【知力】420

 【敏捷】340

 【器用】330

  【運】300


 保有スキル

 

 武器術

 [剣術Lv.8][槍術Lv.5][弓術Lv.5]

 [杖術Lv.6]


 魔法

 [魔力纏いLv.6][魔力感知Lv.8][魔力操作Lv.8]

 [魔力隠蔽Lv.7]

 [火魔法Lv.8][水魔法Lv.8][風魔法Lv.8]

 [土魔法Lv.8][光魔法Lv.8][闇魔法Lv.8]

 [無魔法Lv.8][回復魔法Lv.8][重力魔法Lv.8]

 [時空魔法Lv.8]


 補助 

 [速読Lv.8][速筆Lv.5]

 [気配察知Lv.6][気配遮断Lv.7][危険察知Lv.2]

 [照準Lv.7][採取Lv.4]

 [遠視Lv.5][地獄耳Lv.4][歩行Lv.8]

 [梱包Lv.8][体術Lv.6][コイントスLv.7]

 [思考速度上昇Lv.7][思考加速Lv.5]


 強化

 [筋力強化Lv.4][体力強化Lv.4][知力強化Lv.4]

 [敏捷強化Lv.4][器用強化Lv.4][生命力強化Lv.4]

 [毒耐性Lv.6][麻痺耐性Lv.4]


 エクストラスキル

 [無詠唱Lv.-]

 [身体操作Lv.-]


 ユニークスキル

 [成長速度上昇Lv.-]

 [因子適応Lv.1]

 [完全記憶Lv.-]

 [鑑定Lv.7]

 [偽装Lv.-]

 


 異能

 【吸収Lv.-】


───────────────────



 ……見ない間にすっかり強くなりました。

 一ヶ月前のステータスが鮮明に思い出せるが、今とは天と地の差があるな。


 スキルの取得方法に関しては省くが、一言で言えば、超簡単イージーモードだった。


 いや、本に載ってるスキルを取ろうとする。そして最長でも2時間、最短で1分で取得できるんだからな。

 武器術は訓練中に他の武器を使ってたら取れた。うん簡単簡単。


 多分こうやって俺は努力を忘れていくんだろうなぁ。自覚がある内に、何でもいいから訓練は日課にしておきたいところ。


 エクストラスキルは、正直なところよく分からない。スキルの本に載っていたものではなく、いつの間にか取得していたのだ。

 [無詠唱]はまだ分かるが、[身体操作]に関してはさっぱりだ。説明文も『身体を操作できるようになる』という簡潔なもの。

 う~ん、分からんね。取り敢えずスキルよりは強力そうというイメージだろうか。


 レベルに関しては、襲ってきたゴブリンを返り討ちにしたらこうなった。

 いやぁ、最初のあの死闘(?)は何だったのかと思うほどあっさりと倒せた時は、驚きを禁じえなかったな。

 それでもまだ3、4体しか倒していないのだが。


 パラメーターにはあれだ、なんかすごい上昇量だ。このまま行けば直ぐにグレンさんに追いつけるか?

 レベルが上がる毎に上昇量は増えている。最初は20、そして30、40、50ってな。まぁ例えの話であって、正確にどのくらい上がっているのかは分からんのだが。



 ……そして、そろそろ俺も自身の異常性に気がついてくる。というか薄々気づいてはいたのだが。


 いや、まぁ確かに異常だよな。グレイさんがずっと剣術を鍛え続けてようやくスキルレベル8なのに、俺はわずか1ヶ月間で複数のスキルがレベル8とか7とかだ。

 これを異常と言わずしてなんというのか。


 勇者スペックという言い訳は、ほかの勇者を見れば通用しない。俺以外のヤツ、多分一番高くて5だ。

 それでも十分に高いのだろう。常人と比べれば異常だ。

 俺の場合、勇者と比べても異常になるだけで。


 俺TUEEEEやチートや主人公最強は俺も大好物だし、俺がなる分には別にいいのだが、やはり良心が痛む。

 グレイさんは自身の年齢と同じぐらいの鍛錬をしての積み重ねに対し、俺は棚ぼたの力でのし上がった。なんというか、申し訳ない気持ちがある。

 別に俺が強くなったからと言ってグレイさんを貶める訳でもないが、そういうのは抜きに、といったところか。


 まぁ鍛錬の時間が少ない分、俺には経験が足りないのかもしれないし、やはりそういった面ではまだグレイさんには勝てない。

 それでも、その差をある程度は技術で補ってしまえるのが嬉しいような悲しいような。


 ……よし! 気持ちを切り替えよう! うん!



 次は最近の訓練だ。現在武器の訓練は素振りを終え、1対1の模擬戦に入っている。


 武器はもちろん刃を潰したやつだが、当たれば痛いのでみんな当たらないように頑張る。

 ちなみに俺は、武器が当たる直前に寸止めしようとして、まともに訓練にならんのではという心配をしていたのだが、殆どのやつは普通に当てていた。

 お前ら凄いな、武器を友人に当てることに迷いはないのか? いやそっちの方がこの世界ではいいんだろうけど、危機感は覚える。


 ちなみに、俺を除くと1番剣の扱いが上手いのは美咲、次点で拓磨だ。

 何故か美咲は剣の扱いが上手いんだよなぁ。実は道場にでも通っていたのだろうか? 確か部活は剣道部だったから、そのお陰かもしれない。

 美咲の実家は厳しそうなイメージがあるからな。武術を嗜んでいてもおかしくはない。


 樹は槍を使う奴らの中ではトップだが、模擬戦となると上の下辺りの成績だ。といっても俺と戦ったりして負けているのが入っているので、俺以外と戦えば上の中辺りではないだろうか。


 叶恵は論外だ。あいつは自衛程度でしか使えなかった。どちらかと言うと杖で殴った方が強いかもしれない。ま、魔法に期待だな。


 スキルのレベルは、美咲と拓磨が[剣術Lv.5]で、樹は[槍術Lv.4]と聞いている。鑑定は使っていない。本人の許可を得たら使おうと思っているが。


 そういう俺はというと、先程も言った通り剣術のレベルがグレイさんと同じになっている。

 が、流石にまだ剣術だけでグレイさんには中々勝てない。パラメータの差な、体格の問題などはあるが、一番は経験だろう。


 俺が戦っているのは主にいつもの4人。あまり自分の実力を見せびらかしたいわけじゃないからな。舐められている方がいいのさ。

 何人かは気づいているだろうけどね。そこまで隠しているわけでもないし。


 隠したいのか隠したくないのか、どっちなんだと。


 一方で魔法の訓練だが、まず召喚されてから半月ほどで全員が一種類以上の魔法を取得した。これはマリーさんも驚いていた。さすがは勇者スペック。


 現在は魔法の発動の練習をしている。詠唱をして発動し、用意された的に魔法を当てる訓練だ。エクストラスキルとやらの[無詠唱]のお陰か、魔法の発動に関しては無詠唱でもスムーズに行えるが、やはり詠唱や魔法名を叫んだ方が威力が上がる。


 他のみんなも無詠唱では一部を除いて出来ないらしく、マリーさんが用意した少し恥ずかしい詠唱をして発動していた。


 そんな詠唱だが、実は基本的にはなんでもいいらしく、あくまでイメージの手助けらしい。火魔法なら、火やそれに関連するキーワードを入れて、次に形を表す言葉を用い、最後に効果を表す言葉を入れるとイメージがしやすくなるため、発動が簡単になる。

 その点、俺はなにも詠唱しなくても発動できるのだが、これは想像力の問題だろうか? 間違っても妄想力と言ってはいけない


 余談だが、自作詠唱を用いて魔法を発動する猛者も中には居た。そしてそういう奴に限って、他のやつよりも魔法の威力が高かったりするという結果なのだ。

 自分で作った分、気合が入るのだろう。


 んで、俺以外に無詠唱を使えるのは、拓磨と叶恵、あと同じクラスの春風実はるかぜみのりさんだ。

 春風さんは魔法系なのか、俺を除いて勇者の中で1番魔法が上手い気がする。


 他には使える属性か。俺はご存知の通り全属性。


 聞いた限りでは拓磨は[回復]と[時空]以外の属性で、[光]が得意。

 叶恵は[時空]と[闇]以外の属性で、[回復]が得意。

 樹は[特殊魔法]と[闇]以外の属性で、[風]が得意。

 美咲は[光]と[闇]と[特殊魔法]が使えなくて、[無魔法]が得意。

 

 ついでに俺は全体的に得意だが、強いて言うなら[時空]が得意かもしれない。

 いや、別にカッコイイなんて思ってないよ? うんうん、思ってない思ってない。使い勝手がいいから頻繁に使用するだけだ。


 それ以外ははなんだろうなぁ……あ、図書館ではあらかた本を読み尽くした。

 大体暇な時は図書館に行くのだが、[速読]のレベルが8になった時には1秒もかからず一ページ読み終わるから、今では完全記憶してから読むより、普通に本をめくりながら読む方が早かったりする。


 そのため、知識なら多分現地人より全然あるはずだ。まぁこの世界の常識が載っている本なんてものはなかったので、やはりアシストは必要だが。


 余談だが、ルリとは図書館に行く度に喋るようになり、その時間が俺の安らぎの一時だったりする。先に言っておくが癒しという意味であって他意は無い。


 さて、1ヶ月間の報告はこんな所だろうか。腹黒王族共は特に目立った動きをしていないため問題は無さそうだが、まだ警戒は解いていない。こうやって油断している時が一番怖いのだ。

 まぁ、一高校生の俺が警戒したところで、高が知れているのだが。そこは気持ちの問題だ。


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