2024年10月 楽しい音楽の時間の終わり 皆本悠二

 発表までの間にふと悠二はロビーで1人になる瞬間があった。思いは高校2年生の夏に飛んだ。


 あの時、あの瞬間まであの時のみんな、祈里と一緒で全国に手が届くと思っていた。でも届かなかった。それどころか何もかも失った。

 それでも祈里との約束を果たしたいという虚仮の一念でここまで来た。運は実力のうち。ともかく運も味方してくれた。

でも、それを果たした悠二に何が残るのかという思いが頭をよぎったのだった。今はまだ答えはなかった。

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