別れる世界・夢 平愛美

 とても楽しい、懐かしい時間。現実じゃないよっていう声が聞こえるんだけど構わないやって思ってしまう自分がいる。


 祈里がふと何かに気づいたようで窓側に座る愛美の方を向いた。


「おめでとう。愛美は自分との約束を果たしたね。でもね、愛美はここから先どちらか選ばないとダメだよ」


そう。祈里が言いたい事は分かっている。気づいている。


首を縦に振る祈里。そして愛美をみつめた。


「私の願いは愛美がきちんとここから先の人生を選んで歩んでいく事。学校の先生とフルート奏者、しかも吹部の顧問でしょ。どう考えたって無理だよ。そのせいでフルート奏者の道がおかしくなってる。愛美はもっと自分の音楽も追求したいって思ってた。吹部を助ける事は外からでも出来る。だから、愛美。今は飛び立って」


これは自分の本音なんだろうか?

祈里はそんな愛美の様子に気がついて笑顔になった。


「愛美の聡明な所が好きだった。あとでちゃんとどうするか決めなよ。校長先生やお母さんに相談するのもいいんじゃない?うちのお母さんも何か言いたい事があるかもしれないし。私は愛美の音楽が聞きたい。私はいつも君の音楽と一緒だから。じゃあね。愛美。もう行くね」

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