26話 合同訓練のお知らせ
「さて諸君、今年もこの時期がやってきた」
タイラスは教壇にたつなりそんなことを言い出した。
なんの話しかわからず教室にいる俺達全員は首を傾げる。
「おいお前達、本気で言ってるのか?」
信じらられないというような顔をして机を叩く。
「はあ、しょうがないから教えてやる。いいか、ウチには友好関係を結んでいる国がいくつかある。一週間後にその友好関係を結んでいる一つのマーディアル王国のスレイヴン魔法騎士学園との合同訓練が決まった。この訓練は年に三回行い、一回目にお前達一年坊、2回目に上の2年生、3回目に3年生と行われることになっている。んでもってお前達には今から4人一組でグループを作ってもらう。さ、作れ」
いや、いきなり投げやりすぎませんかね?
そんなことを思いながらも教室の中はグループ決めで賑わい始めていた。
「おーい、相棒!僕と組もうよ!」
ローグが意気揚々とこちらの席に近づき声をかけてくる。
「あの、その、私もご一緒していいですか……?」
ローグの後ろにはマキアがおり、自信の無い声で言う。
「ああ、いいよ。さて、あと一人だけど……」
と、となりで騒がしくいろんな人からグループに誘われるラミアの方を見る。
「アンネットさん私たちのグループに是非!!」
「いや、アンネットさん僕達のグループに!!」
「何を言っているんだい、アンネットさんは僕達のグループさ」
彼女の周りで騒がしくそんな議論が飛び交う。
「いや〜、ごめんね〜。私もう組む人決めてるんだ〜」
ラミアはこちらに振り向き目で「助けて」と訴えてくる。
「……いやー、アンネットさん?俺たちのグループあと一人なんだけど入らないー?」
随分とわざとらしく棒読みでラミアを誘う。てか他の人達の視線が怖すぎる。
「え?いいの〜!?じゃあお邪魔しようかな〜」
ラミアもわざとらしく演技をして俺たちのグループに入る。
何だこの茶番……。
「決まったか〜?」
タイラスが確認をする。
全員返事をして次の説明へとはいる。
「よしそれじゃあ、次は訓練を行う場所だが、今回はバリアントから見て南西の方にある戒めの迷宮で行う。ここの迷宮は比較的魔物の数は多いが、出てくる魔物の階級は低い、まだ学園に入って間もないお前達にはちょうどいいかもな。まあ、ある数人を除いてだが……」
最後の方が少し聞こえずらかったがタイラスの言う通りなら安心だろう。
迷宮とは魔王軍が人間の大陸を侵略してた頃のにできた遺産で悪魔や魔物のキャンプ地みたいなところだ。
それも何百年も前の話なのだが今も迷宮の中から魔物が生まれてきてはあとを絶えない迷惑なものになっている。
「いつも森の中で行っている訓練とは違い、何週間もかけて自分たちの足で迷宮まで行ってもらいそこからまた迷宮の中を探索してもらうことになる。かなり厳しい訓練になると思われるので覚悟しておくように」
タイラスはニヤリと頬を釣りあげ楽しそうだ。
「そんじゃ、体力作りも含めて今日の午後の訓練は長距離走な」
話は終わったようでウキウキしながらタイラスは運動場へと向かう。
なんであなたがそんなに楽しそうなんですかね?
そう思わずには居られないほどタイラスは嬉しそうだった。
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王都バリアントから見て北東に位置するマーディアル王国。この国は冒険者の国と呼ばれ人口の3分の2の人が冒険者を職業としている。
国を納める王、ガイウス=マーディアルも昔は英雄と呼ばれるほど名を馳せた人物だったという。
この国が所有するスレイヴン魔法騎士学園はバルトメア魔法騎士学園の次に優れた教養と設備を備えており、毎年バルトメアの試験に落ちた者が次に目指す学園と言われている。
そんなスレイヴン魔法騎士学園にある特別な天職を授かった少年が入学した。
「つまらない……」
少年は一言呟き腰に携えた剣を抜く。
黒い刀身と鍔には小さな赤い宝石が埋め込まれなシンプルなデザインの片手剣。
陽の光が黒い剣を照らし目を奪われるほどの美しさだ。
「なあ、そう思うだろエリス?」
少年は剣に向かって尋ねる。
「はい、マスターのおっしゃる通りです」
すると少年の問に剣が答え、人の姿へと変身する。
長い黒髪に水色の綺麗な瞳、白くキメ細やかな肌、身長は160cmくらいだろうか、黒いワンピースに身を包んだエリスと呼ばれた少女は誰かと瓜二つの姿をしていた。
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