第2話 もう一度

 どれだけの時間が過ぎたかわからない時が経った。

 『楽園』と名付けた場所で過ごす者達との生活は円満に続けられていた。

 生活だけは。

 私は苦しさを持つ『さびしさ』や『虚しさ』などの感情がどんどん溜まっていた。

 『世界』を創ろうと決める前、あの時以上の『虚しさ』と成っても止まらずに自分の心の中で肥大をし続けている。

 いくら自分と同じ動くモノと一緒に居ても、どうしても物足りなさを感じる。それはやはり『それら』を創ろうとした時に感じた、


 ……自分と同じモノと一緒に居たい。


 その気持ちだからだろう。

 どれだけ楽しく騒いでも。どれだけ長くいても。

 それが自分と同じ姿でなければ、気休め程度にしかならない。

 そのことを私は長い間自分を誤魔化して、目をそらして凌いできた。

 しかしもう溜めきれなくなった。限界を迎えてしまった。

 前回は失敗してしまった。だが今回は失敗しない。

 私は今回『土』を元に作ることにした。前回は一から創ったが、きっとそれでは自分の気持ちが強く入り過ぎてしまうのかもしれない。だからこその失敗だったのかもしれない。

 故に今回は『土』を元に作ることにした。

 そしてもう一つ。私を敬う感情と、ほとんどの知識を持たせないことにした。

 『それら』が私を敬った時の光景は確かに嬉しかった。だがやはりそれでは『同じ』ではない。私は、対等に。平等に。同等に接し合いたいのだ。

 そのためにも敬わせず、疑問に思う知識を持たせず、私は新しく作るモノの前では力を使わない。他の『楽園』の者達にもそれは言わせない。


 ……同じでいられる、そんなモノを作ろう!


 私は今回、『それら』を創った時とは違い、念入りに時間をかけて作り上げた。

 そうして出来上がったのは、自分とは外見的には全く同じ。だが、

「はじめて、だな。よろしく」

 敬うことなく、同等に接してくれるのは『それら』とは違かった。

 そのことに、私は『それら』から敬われた時よりは少ない『満足感』を得た。けれどもその『満足感』は『それら』の時よりも温かく、じんわりと自分の中に広がった。

 対等にするためとより近くなれるだろうとお互いにお互いだけの呼び方を付けることにした。

 私は『土』を元に作ったことを理由に『アダム』と付けた。そしてアダムは、


「そうだなー……」


 と悩み、少しの間考えるとニッコリと笑って、


「なら、ソラで」


 とだけ。理由は聞いても教えて貰えず、秘密とされてしまった。

 そのことに『さびしさ』も感じるが、『うれしさ』の方が強かった。

 今までにどんなモノも『隠す』と言う行為をしてくれなかった。ただもししたとしても私には隠したことを見抜くことが出来ただろう。

 しかし隠され、見抜くことをせずにいることは新しく、自分が求めていた関係なのだと、そう感じられた。

 ただやはりどうしても持ってしまう思い。『切なさ』だけはどうにもならなかった。

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