第11話 テスト結果と兄の要求
テスト返却日、大学から早めに自宅に帰宅して、
しばらくすると玄関のドアが開く音が聞こえ、リビングに制服を着た唯が入って来た。
「どうだった!?」
国語五十点、数学五十点。
「すごいじゃないか。頑張ったな」
「うん。これも皆まき絵お姉ちゃんや
「俺のおかげじゃないのか……あの二人よりも勉強を教えた時間が長いはずなのだが……」
「ああ。感謝しているよ。お兄ちゃん」
「なんか心がこもってないな……まあいいけど」
軽い感謝に落ち込むが母親に言われたノルマを二教科達成してよかったが、残り三教科もあるのでまだ安心はできない。
「今日は勉強しないでゆっくりしてもいいよね?」
「う~ん。まあ今日はいいだろう」
「やった。それじゃあ部屋でマンガでも読んでようかな」
唯は自室に戻り部屋のドアを閉めようとした途端。背後に誰か立っていることに気付いた。
「なんでお兄ちゃんは私の部屋に入ろうとするの?」
「それは兄だからに決まっているだろ」
「意味わかんない! キモいんだけど!」
唯は恍の足のすねを蹴り飛ばしドアから離そうとするが、恍は痛みを我慢しながら必死に堪える。
「別に何もしないから入ってもいいだろ」
「当てにならないよ。」
隙を突いて唯は恍の股間を目掛けて前蹴りをクリーンヒットさせた。
その隙に唯は部屋のドアを閉め、そのまま施錠した。
唯の部屋だけ鍵付きドアになった理由は、恍が唯の部屋に無断で侵入するため、父親にドアを取り替えてもらったのだ。
「きたないぞ唯! ここを開けろ!」
恍の言葉を無視して唯は誰かと話している。
ドアに耳を傾けて盗み聞きをすると、顔から足の先端まで恍は血の気が引いた。
唯の話している相手はまき絵だったのだ。
その後、鬼のような形相をしたまき絵にコテンパンにブチノメされ大人しく一日をすごすのであった。
後日最後の答案用紙が渡された唯は、お化けを目撃したような表情で恍の所に駆け寄った。
「お兄ちゃん……これ見て……」
勢いよくスクールバックから三教科の答案用紙をテーブルの上に広げて見せた。
「おま……これ……本当に?」
疑うような眼差しで答案用紙を手に取りマジマジと眺める」
社会七十八点、理科七十五点、英語八十点。
この異様な点数を付けたのは担当教師の入力間違いか、それとも誰かの答案とすり替えたのかと思えるくらい疑ってしまう。
「どう、私の実力に驚いた?」
胸を張って自慢する唯に何て言ったらいいか言葉が出ない。
「とにかく。落ち着こう」
恍は大きく息を吸って深呼吸する。たった数ヶ月でこれほど上達するとは思わなかった。
「これでお小遣いも禁止されなくてよかった」
唯はあまりにも嬉しくて、ほんわかな笑顔をする。
「なあ唯。約束のこと覚えているよな?」
「約束?」
「ああ。惚けても無駄だぞ。俺はちゃんと覚えているんだからな」
テストの高得点で嬉しい頭がいっぱいの唯だったが恍との約束のことを思い出すと、段々嬉しい感情から恐怖の感情へと変わる。
「……さあ、気のせいじゃない?」
「俺は嘘つきは嫌いだ。さあここで全裸になってストリップをしろ」
「イヤだよっ! 約束はキスでしょっ!」
咄嗟のことで、ついつい口突っ走る唯は慌てて両手で口を押さえるがもう遅い。
「なんだ知っているんじゃないか。ならわかるよな」
恍はゆっくりと唯に近寄る。それと同時に唯は一歩後ずさる。
徐々に壁による唯は頭を振りしぼり、ある条件を突き付けた。その条件とは……。
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