第6話

疑問に思い目を開けるとそこには、真っ二つにされた骸骨と、骸骨やつを真っ二つにしたらしい男が立っていた。

夜闇には細やかな意匠が凝らされたと見える純白の鎧が輝かしく見える。その上に被っているマントは背中から見ると黒であるが、微かな風に舞見える裏側は、どうやら青であるようだ。

その登場はまるで少女漫画の王子様であった。だが、生憎私の"王子様"は、この後に優しく手を伸ばし、私の様態を確認してくれる情はなかった。


振り向いた"私の王子様"は如何にも世話の掛かる子犬を見る様な目で私をみながら口を開いた。


「一体こんな時間に何をしていたんだ?たまたま"聖剣エクスカリバー持ちの俺が居たから助かったが、次は無いと思え。」


色々文句があった。かよわい女の子なんだからもっと優しくしてよ!だとか、なんでそんな事あんたに言われなきゃならないんだ!とか(まぁ、夜道一人で歩いてた私が悪いんだけど...)

それより先に、やはり歴女としてめちゃくちゃ気になる言葉がさっきの"王子様"の言葉にあった。


聖剣エクスカリバー?それって...まさか...アーサー王?」


そう、現代では全世界に知れ渡る超有名な伝説、アーサー王伝説の主人公にして、聖剣エクスカリバーを操った事が有名なアーサー王である。やっぱエクスカリバーって言ったらアーサー王じゃん?


「何故お前がそんな事を知っている?」


そんな事を思っていると、王子様は口を開いた。その口調はさっきと違い、疑念の念を抱いている。


「えっ、アーサー王って知ってるんですか?」


ならここは地球なのか?

そんな疑問を浮かべていると、彼は妙に納得した顔でこう繰り返した。


「そうか、お前が噂の脱走したエルベシア王国の英霊鑑定士か...」


「へっ?」


王子様から出た意味不明の言葉に困惑する。

えるべしあ?えいれいかんていし?なにそれ?


「なら事情が変わった。お前、大人しく俺に着いてこい。」


呑み込みの悪い私でも分かった。逃げたら殺されると...






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