第5話

「ヒゥェ」


悲鳴とも言えない音が喉からなった。今まで心細さと恐怖の中必死で理性を保ち、歩みを進ませていた何かが弾き飛んだ。なんとか後ずさろうとするが上手く後ずされない。少しずつ距離を取ろうする。漸く少し離れたと思ったら、今までピクリも動かなかった骸骨そいつが弾き出された様に私を追いかけ始める。

必死に逃げるが、恐怖と衝撃で上手く足が動かない。


「いや、いやぁ」


目に涙が浮かぶ。一体なんで私がこんな目に会わなきゃならないのが。神を恨みたくなる。


骸骨からの逃走は突然、足が縺れて転んだ事で終了した。

また立ち上がり逃げようとするが、恐怖と焦燥で腰に力が入らない。


「やだ、なんで、来ないでよ!いや!来ないで!」


そんな叫びも骸骨相手に意味が無い。

どうしよう、足が動かない。やだ死にたくない。なんで、またこんな目に会わなきゃならないとか。

涙が無意識に瞳から零れ落ちる。

骸骨はゆっくりと、キシ、キシッと音を立てながら、一歩一歩ゆっくりと、だが確実に近づいて来る。


「いやぁ、来ないでって、やだよ、来ないでよ!」


無駄だと分かっていても叫ぶしかない。


遂に骸骨やつは私の目の前にやってきた。骸骨だから当然どんな表情をしてるのか分からない。それが一番怖かった。


そして骸骨が持っていたボロい剣を私に振り翳す。

終わった。そう思い目を瞑り、死を覚悟したが、剣は一向に私に振り下ろされなかった


















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