一月十八日 祭曜

給料日払いの件は杜郷さんに了承してもらえた。ただ、なぜそんなことを望むのか、いらぬ不安を与えてしまったようだ。「他に不満な待遇はない?」と上目遣いで聞かれてしまう始末だ。


杜郷さんはとてもいい人だと思う。同じ金持ちでも百容堂の主人は金への執着が激しい。杜郷さんは金持ち喧嘩せず、の人だ。何不自由なく暮らしてきた人特有の余裕が感じられる。


杜郷さんなら、母親と通じているわけでもなく、ただの厚意でこうしてくれることはありうるかもしれない。


でも……。


自分なら、こんなことをするだろうか。どこの誰ともわからない人と二人きりで暮らしながら、無期限でお手伝いとして雇う。怖くないだろうか。




そもそも、なぜ杜郷さんはこのお屋敷に一人だったのだろう。


家族はいないのだろうか。




夜になると、二階のあかずの間のほうから物音がするような気がする。

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