スポーツ創造
マクナミラン・ミランダー(著)
大友蛾次郎(訳)
ライアー出版
マクナミラン・ミランダーはドッジボールとマラソンを掛け合わせたスポーツ「ダゲレーター」の創始者の一人。
本書では、大学在籍時代、新しいスポーツを創り上げようと学友達と試行錯誤を重ねた思い出、スポンサーを募りプロスポーツ化を目指した四苦八苦の記録、YOUTUBE配信を駆使して収益化に成功した近年の歩みなどを語り下ろしています。
ダゲレーターはギリシャ神話に登場する暗殺者で、四十キロ近い道のりを走破した後、一族の仇である王に投石を浴びせ、死に至らしめたと伝わっています。スポーツとしてのダゲレーターは、この故事に倣ったものです。ただし暗殺者の役目を担うのは一人ではありません。対戦する二人の選手双方が暗殺者となり、長距離を走破して相手を狙うのです。
簡単に説明すると、四十キロの道のりの両端に選手が立ち、同時にスタートを切ります。歩行は不可、ただしゆっくりした速度で走ることはルール違反ではありません。いずれかの地点で出くわした瞬間、両選手は手に持っていたボールを相手に投げつけます。両方の投擲が外れた場合はドロー、片方が外れた場合はそちらが敗北、両方、命中した場合は、当たった部位に応じて与えられたポイントの高い方が勝利となります。
勝負の機会はたった一度だけ。しかも十数キロ~三十キロの距離を走らされた後の投擲です。消耗を免れ得ない中でどれだけ精神を落ち着け、正確な攻撃を放つことができるかが勝利のポイントとなる、大変ハードなスポーツです。しかしそのシビアさが観衆を引き付け、ダゲレーターは瞬く間に人気を博しました。TVで放送される例こそ稀ですが、ネット上では公式・非公式を問わず試合が組まれ、その動画はかなりの再生数を記録しています。
往来でボールを投擲することが交通事故を誘発しかねないため、舗装された田舎の道路などが試合場になるケースが多いようです。車の通りが少なく、その上で走行に適した平らな道が延々と続くロケーションとして、日本では北海道や山陰などが注目されているとのこと。
人通りのない道で、ボールを片手に走っている人を見かけたら、それはダゲレーターの選手かもしれません。
(このレビューは妄想に基づくものです)
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