眼球調理入門

 ヨハン・シュラーマフ(著)

 才木一水(訳)


(ミュンヒハウゼン文庫)


 人間の眼球を調理する方法について記した手引書。


 世界広しと言えど、こんなとんでもない食材を専門にした調理レシピは本書くらいのものだろう。


 著者は連続殺人鬼でも何でもない、善良な一般市民を自称するルポライター。前書きによると、人間の眼球を入手する手段はそれほど限られたものではないらしい。産婦人科の廃棄物、紛争地帯の死体処理コンテナ……身元不明の遺体から腎臓や各種内臓を抜き取り、高額で取引する闇売買ルートはすでに世界中で確立されているらしく、死後数時間を経過して、角膜移植に間に合わなくなった眼球であれば、比較的安価・容易に手に入るそうだ。


 とはいえ眼球食の同好の士を探すとなると、よりアンダーグラウンドな世界に踏み込まざるを得ない。著者はアメリカ・中南米を中心に、食人を行ったことが判明している殺人犯に詳細なインタビューを行い、眼球を食べたか、味はどうだったか、スパイスを加えたか等を逐一確認している。その結果、驚くべきことに食人を行った殺人犯の九割が、眼球を食べていたことが判明した。


「人体を食べることになったなら、眼球を口に入れてみたいと思うのは自然の成り行きだろう」

 著者の言葉である。著者自身も少々、人としての道を外れてしまっていると評さざるを得ない。


 なお著者によると、日本の調味料の中では、しそドレッシングが「合う」らしい。



(このレビューはすべて妄想に基づいたものです)

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