サンヌカア・オリガナチャ
中丸仁 (著)
(ミュンヒハウゼン文庫)
九州・丸島列島の民間信仰、「サンヌカア」についての概説書。
サンヌカアとは地中に住む神のことを指し、オリガナチャとはその巫女のこと。
サンヌカアは欲深いが、貢ぎ物を奉じた者には酬いを与えてくれる義理堅い神だとされている。信者達は、十年に一度、神の巫女であるオリガナチャを生贄にささげることで、富貴と名誉が保証されるという。
この信仰の特異な、同時に厄介な点は、神への贄であるオリガナチャの選出条件が、特定の血筋や地理的条件に依らないという部分だ。
生贄を捧げる時期に入ると、信者達は土の声を聞くという。TVを見ていたとき、街を歩いていたとき、フェイスブックを閲覧していたとき、土の声が信者に囁きかける。「その女が巫女だ。我に捧げよ」と。
土の声を聞いた信者は、相手がタレントだろうが通りすがりの観光客だろうが住んでいる場所も判らないブログの管理人だろうが、必ず彼女を探し出して生贄にしなければ許されない。捧げる方法は、ただ殺すだけでよく、凶器も、儀式も必要ないという。
つまり女性であれば、世界中の誰もがオリガナチャとして殺されてしまう可能性があるということだ。
信者によると、オリガナチャの儀式はこの数百年間、途切れることなく続いているという。
あなたが女性であったなら、オリガナチャに選ばれる可能性はゼロではない。
それは交通事故や、単なる通り魔によってもたらされる死の確率と比べても、低いパーセンテージかもしれない。
それでも、ゼロではないのだ。
(このレビューはすべて妄想に基づいたものです)
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