第28話 その後の2人 それから

 サプライズパーティーは、大成功で幕を閉じた。

 ソファで寛いでいると、ナナさんが風呂から出てきた。

「アキ。 今日のアレ、知ってたのか?」

「うん。大体はね。再プロポーズと、バースデーパーティーは、皆んなにお知らせしてた。そしたら、樹さんが、神父役をやってくれるって事になったんだ。 でも、指輪の事は知らなかったから、僕も驚いたよ! 多分、樹さんが骨を折ってくれたんだと思うな」

「なんだか、嬉しいやら、照れ臭いやらで、参ったよ」

「結局、僕も樹さんの事、憎めないんだよなぁ」

「そうなんだよ。小憎らしくて俺様ヤローなのに…… 気がつくと、あいつのペースにハマってるんだ」


「樹さんのお陰で、僕たち、皆んなに宣誓しちゃったね」

「そうだな。 アキは、良かったのか? 客商売だろ? 」

「うん。 そこは気にしてない。 それより、ナナさんに、変な虫が付く方が心配。 ナナさんが食べに来た時に、チラチラ見てる人がいると、『ナナさんは、僕のだー!』って言いたくなる」

「気にし過ぎ。 誰も俺の事なんて見てないよ」

「これだからな。 ナナさんは、鈍感過ぎて心配だよ」


「それよりさ、あのバイト君、今日は居なかったな」

「バスケの試合なんだって。それに、今日は、ナナさんを祝いたかったから、しゅんは、元々呼ぶつもりなかったんだよね」

「ふぅーん。このところ、バイト君の視線が厳しいモノに感じるんだけど、俺、何かしたかな? 」

「本当に? 気のせいじゃない? 店でしか接点ないよね? 」

「んー。 そうだよなぁー」

「ねねっ!これからは、ナナさんの誕生日は、結婚記念日だね! 来年からは、毎年定休日にしようかなー。そだ!ナナさんの事務所もそうしてよ!」

「は?なんで? 」


「そりゃ…… 26日から27日に変わる瞬間におめでとうのキスしたいでしょ? そしたらさ、ほら…… 色々止められないじゃない。 なんていうかさ…… ナナさんの身体の隅々まで、おめでとうを届けたくなるかなぁーって」

「ほぉ。 もっともらしく言ってるけど、その日は、翌日腰が立たなくなるくらいに抱き潰すって事な」

「そんな…… 身も蓋も無い言い方しなくても」

「…… 分かった。 …… 来年からは、定休日にするよ」

「やった! じゃあさ。 今年は1日遅れだけど、今から2人の愛を確かめよ! 」


「…… しょうがないな。 シャワーに行くか。でも、言っとくけど、明日は休まないぞ」

「勿論! 3回までで、我慢する」

「…… それ、我慢って言うか? …… 今夜は1回!……その代わり、 濃密な1回にしてやるから、覚悟しろよ」

「これだから、ナナさん大好きだ‼︎ 」


 俺たちは、触れ合うキスで、始まりの合図をした。


 了

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