第15話 絆 ⁂
俺たちは、結局最後までしなかった。
アキとの関係が変にこじれなくて済んだ事に安堵して、美味いワインを飲み過ぎた。
アキも、俺が、樹との決別を勝ち取るまで待つと言った。
でも、長く我慢出来ないから、早めにしてね、とも。
2人でアキのベットに入る。
「今日は、色んなことあり過ぎたよね」
「だな。少し疲れた」
「そうだね。でも、僕は後で振り返っても後悔しない日に出来た。ナナさん、ありがと」
「元々、俺の案件だろ」
「案件って…… 」
「俺の方こそありがとう。こんな面倒くさい俺を見捨てないでいてくれて。それに、あのワイン仕入れてくれたんだろ」
「うん。前にイタリアンレストランで飲んだ時、気に入ってたみたいだし。僕も飲んで美味しいと思った。値段も案外手頃だったから、店に置くことにしたんだ」
「アキは、またそうやって俺の心地良い事ばかりして、甘やかす。シロップ漬けになりそうだ」
「良いね!それ。 ワインもチーズも熟睡されて美味しくなるから、ナナさんもきっと美味しくなるね」
「なんだよ。それ」
「ねぇ。ナナさん。… 熟成度合いを確かめたいから、、、ちょっとだけ味見しても、良い?」
笑がもれた。
上手い事を言うものだ。
アキの頭を引き寄せて、口唇を合わせた。
絆を深めた俺たちは、濃密だった。
蜂蜜のような甘いあまいキスをして、お互いの名前を囁き合う。
口唇は、深く浅く交わりあい、下肢に熱が籠るのを感じながら、舌を絡める。
アキが、緩くウェーブのかかったハニーブロンドを搔き上げる。
割れた腹筋、薄褐色の肌。
俺の男は壮絶に色っぽい。
アキの舌が、耳を食み、首筋を愛撫し、胸の突起を突く。
堪らず、湿った声を漏らしてしまう。
俺を見つめるその瞳に宿る艶に、小さく身震いする。
アキが少し身体を起こし、俺の髪や頬を撫でてくる。
「ナナさんから、キスして 」
普段なら自分からキスなんて恥ずかしすぎるが、酔った俺は、アキの言うなりだ。
顔を傾け、軽く唇を合わせると、今度は頭を掴まれた。
アキの情熱的な唇に、身も心もすっかり溶けてしまったのだった。
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