FileNo.1 ブラック - 02
● ● ●
その『壁』を初めて見た時、僕は目を細めて前方を見つめていた。
だから、だったのかもしれない。目視にして、およそ前方三十メートル先。僕がそこに、どうにも陽気にそぐわない、どす黒いものがあることに気付いたのは。
それは真っ黒な四角い『板』に見えた。厚さは分からない。横断歩道の先、ビルとビルの間に伸びている道路の上に――僕の真正面前方に、それは
何だろう、あれ。そんなことを友人に言った覚えがある。
何が、と友人は
何を指さしてるんだ、と友人は言った。アレだよ、あの黒いの。
横断歩道を渡り切って、指さしていたビルとビルの間の道路の真ん中に立って、僕は腕を組んで考えた。
無くなってしまった。
確かにあの黒いものは、いま僕が立っている場所に在った。だが実際に来てみたらどうだ。そんなものは
見間違えだったのだろうか。
板と思っていたけれど、実は物凄く横に大きい人が
何だか知らないけど、行こうぜ。友人は
次に『壁』に気付いたのは、その十日ほど後だったと思う。
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