FileNo.1 ブラック-01

 とん、と、背中を押された。




 結果。




 僕は崖から、真っ逆さまに落ちた。彼らの言葉によれば、崖下までは百二十メートル以上。考えずとも分かる。




 僕は死ぬ。




 ここで死ぬ。潰れて死ぬのだ。熟れた柿が地に落ちて潰れるように。人間としての形など残りもしないだろう。ああ、だけど、この死に方は予想していなかった。




 ――僕が死ぬ時は、『壁』に圧し潰されるものだと思っていたから。

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