第20話珍客来店

とある日、お客さんもすっかり掃けたのでそろそろ店を閉めようかと思った時にその人達は現れた。


「申し訳ないが今から料理を出してもらう事は可能かね?」


老夫婦という年齢のご夫婦が店にやってきた。


まだ大丈夫ではあるが既に他の屋台は既に閉めている…


んー…悩むな…


「厳しいようであれば後日でもよろしいかな?他の日でもこの時間しかこれないのだが…」


せっかく来てくれたしなぁ…


うーんと悩んでいると一つだけメニューを思いついた。


簡単な物でよければ出来ますよ?


という事で急遽ではあるが俺が作ることにした。


まずは肉を包丁で叩く叩く叩く叩く…疲れた…


こういうときはエリーチェに任せよう!


其の間に玉ねぎをみじん切りにして超火力で炒める。


さすが魔法使いカティエ先生!火力バッチリ!


肉の方はいい感じに叩けてるな。


キアラにパンを小さく細かく切るように指示を出す。


これで…肉と玉ねぎと刻んだパンを混ぜ合わせて…


こねるっと!


「何を作っているんですか?」


んーこっちにはないのかな…クルルは知らない?ハンバーグって


「はんばーぐ?」


そりゃこっちにはないよな…一回も見たことねぇし…


いやちゃんとした店にならあるのかな…?


まぁいいか


空気抜きも終わったので両面をじっくりしっかりと焼きあげていく。


両面がしっかり焼けたら出来上がりだけどソースがないな…


ケチャップとかないしなぁ…


代用できるかな…


トマトを刻んでハンバーグを焼いたフライパンに放り込む


塩と胡椒で味付けして…トマトは潰しながら炒めてっと…


ある程度炒めたらハンバーグにかけて…


ほい完成!!


なんちゃってハンバーグ!!


大丈夫かな…?


二人分で4個作った。


1個余分に作ったので味見をしてみる。


うん!美味しくできた!


という事でお待たせしました!


「ほう…これはおいしそうな…何という料理なのかね?」


ハンバーグです!


「はんばーぐ…?聞いた事ない料理だな…知ってるか?」


「いいえ…私も初めて見た料理です」


恐る恐るハンバーグをナイフで切り分け口に運ぶ。


「うん…うん…これは…うん…美味しいな!」


「えぇ!このお肉から肉汁がジュワっと出てくるのもまた凄いですね」


良かった…好評のようだ。


白飯とお味噌汁もおいしいので是非…というかそちらがメインです!


「ふむ…このはんばーぐと一緒に食べると…旨いな!」

「この味噌汁?というのも美味しいですね」


こちらも好評だった。


「ねぇねぇ…あれ私も食べたい…」


キアラ…今度作ってあげるからね…


「ふぅ…美味しかったな…噂通りの店だったな!」


「えぇ!まったくですね」


「それで…いくらだね?」


ん~…手間はかかったけどいつも通りの値段かな…1000イェンで!


「なに!?1000イェンだと!?」


あれ?凄い驚いているけど高いかな?


「うむむ…これだけの料理であれば城で出してもいいぐらいの料理だぞ…」


何かボソボソと言ってるけど…怒らしちゃったかな?


「あぁ、いや…すまない。1000イェンだったな」


小銀貨を1枚受け取る。


「旨い食事をありがとう。また時間があれば是非立ち寄らせてもらうとしよう」


「えぇ。本当にありがとう」


満足していただけたようだ。良かった良かった。


扉を閉めて今度こそ閉店だ!!


後日


「おい!はんばーぐっていうのはないのか!?」


いきなりアドリアーノさんが怒鳴り込んで来た。


何ではんばーぐ知ってるんだ?


「もう城でははんばーぐの話題で持ち切りなんだよ!」


何で城で?


「陛下が食べたっていうんだよ!」


はぁ…そんな偉い人来たっけ?


はんばーぐ出したのは…あの老夫婦…え?まさか…


「陛下が王妃様を連れて…夜にここに食べに来たそうなんだよ…」


それって大問題じゃない…?


「そりゃそうだよ!騎士団がすげぇ責められてるんだよ!出て行くのが見えなかったのか!ってな!ってわけではんばーぐ食わせろ!」


うん…いいですけど…今は出すと色々と危ないから…今度ね…?

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