第19話エリーチェと冒険

ある時エリーチェに言われた。


「いつになったらデートしてくれるの?」


前にクルルと子供を迎えに行った時の話しだった。


「「そうだそうだ!」」


キアラとカティエを同調している。


確かに今だに約束は果たせていない…


人も増えて皆も作業に慣れてきたし、ここは皆とデートしよう!


という訳で、本日はエリーチェとデートの日


エリーチェは元気娘だからなぁ…やっぱカラダを動かせる方がいいのかな?


「へへ~二人きりのお出掛け♪」


腕を絡めて歩くのはいいんだけど、色々と当たる。


そして周りの視線。


エリーチェ含め俺の嫁さん候補は皆可愛い。


注目を集めるだけではなくナンパされる事だって当たり前だ。


ところで…エリーチェは今日何をしたいんだ?


「んっとね…買い物もしたいし一緒にご飯も食べたいし…んー…一緒にやりたい事が多くて…どうしよっかなぁ…」


そんなにか…


「んー…そうだ!冒険にいこう!」


冒険…?


「そう!冒険!」


買い物とかご飯とか掛け離れてるけど…?


「んー…一緒に居られれば何でもいいけど…久々に冒険に行きたいなぁ…」


今日は一日中付き合う予定だったし、エリーチェお勧めの冒険をしようか!


「うんっ!」


冒険者ギルドへ向うことになった。


冒険者ギルドの扉を開けると騒がしかったギルドは一瞬の静寂が訪れるがすぐにまた騒がしくなる。


「ちょっと依頼見てくるね!」


たたたっ!とボードへ掛けていくエリーチェ


一人ぽつんと取り残される俺


居心地が悪い…


ふいにポンッ!と肩を叩かれる。


ぇ・・・?何・・・?


後ろを振り向くと見知らぬ冒険者が立っていた。


だ・・・誰ですか・・・?


「アンタ…あの大きい飯屋の旦那じゃないのか?」


大きい飯屋…うん…多分…フードコートの事かな…


「やっぱそうだよな!俺はこの街に来たらあの店で絶対に飯食べるんだよ!」


お客さんだったのか!


「まぁ、あんだけ賑わってたら顔なんて覚えてらんねぇよな」


申し訳ないがまったくもって其の通りです…


「ところでよ…エリーチェの旦那ってアンタの事か?」


はい・・・?


「いやな、エリーチェが前にギルドに来たときに言いふらしてたんだよ。旦那が出来た!店やるから食べに来てってな」


なるほど…店がオープンする前に宣伝してくれてたのか…ありがたい。


「いや、そこまではいいんだけどな…旦那ってのが引っかかってな」


・・・なんで?


「エリーチェのパーティーって全員可愛かっただろ?それでまぁ色々とパーティーに誘われたりする事もだが、飯に誘われたりする事が多かったんだよ」


なるほど…


「まぁ全部断ってたんだが…それがいきなり旦那が出来た!だからな…良く思ってない奴もいるんだよ」


あーなるほど…俺結構ヤバイ…?


「まぁ表だってどうこう言う奴はいないと思うけど…一応の忠告だな。まぁ俺の方でもそうならないように見れるときは見といてやるからよ!」


え?いいの!?


「あぁ!うまい飯を提供してもらってるしな!安いのに旨くて早い!あの店は今や名物って言ってもいいぐらいだ!」


おぉぉぉぉ…恥ずかしいけど…嬉しいな


「ま、一応気をつけとけって事で、嫁さんが戻ってきたぜ。また飯食いにいくからよろしくな!」


肩にポンっと手を乗せ去っていく冒険者


「おまたせー!何か話してたみたいだけど知り合い?」


いや…知り合いじゃないけど…いい人かな…


「そうなんだ?あの人、前からしつこくパーティーに誘ってきた人なんだよね…目つきがイヤラシかったから毎回断ってたけど」


なんですと…?


ってことはさっきのは…警告…?


背中に悪寒を覚えてしまう。


「それじゃあ行こう!冒険の旅にしゅっぱぁーつ!」


腕をグイっと引っ張られ外に連れ出される。


そういえばどんな依頼を受けたんだろうか?


「採取系がほとんどだよ!」


そっかそっか。


俺は見分け方が判らないから教えてね。


「まっかせてよ!」


自分の拳で胸を叩く。


それからはひたすら色々な物を採取した。


食べられるかどうか何て判らないから見向きもしなかったけど…結構生えてるもんなんだねぇ…


これは?これは?


と質問をしながらも採取に没頭し楽しい時間が過ぎていった。


それからしばらくしてそろそろいい時間じゃないかな?と思った所で声が上がった


「あああああああ!一件忘れてた!」


ん?何を?


「依頼だよ!隣町まで物を届けるって依頼も一緒に受けてたんだよ!」


なるほど…しかし…時間も時間だからその依頼は破棄うるって事は出来ないのかな?


「駄目駄目!一回受けた依頼はちゃんとやらないと罰金になっちゃうんだよ!」


それもそうか…


「今ならまだいけるね!時間もないしササっといこう!」


本当に間に合うのか…?


何とか無事に届け物を終了した頃にはすっかり夜になっていた。


今から帰ると…いや、深夜だろうな…


するとエリーチェが俺の裾を掴んできた。


「今日は遅いから…宿いこう…?」


こいつ…計画的犯行だな…


その日は宿に泊まってエリーチェとイチャイチャ過ごした。


翌日帰ったら物凄く怒られた。

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