第17話その後のお店

子供達を迎えてから3ヵ月後


店は更に繁盛していた。


まず、店に入ると同時に白飯セットの代金を貰う。


そこに子供を二人配置して効率を上げた。


白飯セットの代金が500イェンなので小銀貨5枚を払ってもらう。


銀貨1枚だった場合は小銀貨を5枚返す。


まずはこの作業のみを行ってもらう。


もしその場で肉などを注文する場合は客に料金を貰ってから札を渡す。


この札をそれぞれの店に見せれば料理を貰えるようにした。


それぞれの店で料金が異なる為、大変な作業となるがクルルをその場の責任者として付け対応してもらう。


料金を払った客は木のトレイを持って店の並びをスライドしていく。


自分の食べたい物を見せの前で注文して料金を払うか札を見せて料理を受け取る。


次に席の移動なのだが…会計の子供以外は全てフロアーに配置した。


仕事内容は、席への誘導、食べ終わった客の食器を片付ける、テーブルを清掃する、水を配る


席への誘導は空いてる席がある場合、料理を取った客を席まで案内する。


次に水を配る。


食べ終わっている場合はトレイを回収し、洗い場に持っていく。


洗い場がある程度溜まったら、一人が洗い物をする。


単純な作業ではあるが子供達は懸命に働いてくれた。


ある程度ピークが過ぎた所で、子供達を順番に食事休憩を取らせる。


この休憩の食事は勿論無料で好きな物を食べる事が出来る。


屋台の人達も協力してくれて子供達はゆっくりとご飯を食べることが出来る。


夜の時間までは比較的席が空いてくるので其の間に机の清掃などを行い夜に備える。


協会から鐘が鳴り響くと仕事が終了の時間となるが店はまだ終わらない。


仕事終わりの人達がここぞとばかりに押し寄せてくる。


昼間と同じ動きをすれば良いのだが昼と違い客の掃けるスピードが速い。


常連客に聞いたところ、この店で飯を済ませて酒場へ行くのが良いらしい。


何故だろうかと思ったが飯はここで食べた方が安く済ませられるからだ。


ある程度客が引くと店を閉店させる。


子供達の数人は既に自宅に戻っており、夕飯を作ったり、風呂の準備をさせている。


こうすることによって仕事後のダラダラした時間はなくなりスムーズにご飯と風呂にありつける。


その間に俺は子供達の日当を振り分けている。


夕飯の後に渡すようにしている。


一応こちらに金庫を用意しているのでそこに保管しておくこともできる。


日当を渡す時に一人一人に声をかけて渡していくようにする。


雇用主として子供達の意見はしっかり聞かなければと思う。


「テツどうだ?仕事には慣れたか?」


「はい!住む所、ご飯、服、更には仕事まで用意してくださって旦那様には感謝しかありません」


この子はテツと言って子供達のまとめ役でもある。


ちなみに名前を付けたのは俺だ。


本来の名前があったのは知っているが違う場所で生活するので心機一転新しい名前にしてみては?と思い提案してみた結果


思いの外ウケがよかったので全員命名させてもらった。


名前は全部日本人風にさせてもらった。


10人全員に名前をつけた後は職人さんにお願いして左胸あたりに付けられる小さなプレートを作ってもらい、そこに名前を記した。


情けない話ではあるが子供達の名前をつけても俺が覚えきれるかどうか…というのもあった為の措置だ。


これも好評だった。


「ユキはどうだ?」


「はい。皆で一緒に仕事が出来て…こんな素敵な場所に住まわせてもらって本当に旦那様には感謝しております」


喜んでくれてるなら何よりだが仕事は辛くないだろうか…


「前の場所では…一日働いてもお金をもらえなかったりした事もあったので…」


確かにそう考えればここはかなり働きやすいか…


婚約者の一人であるキアラがとんでもない事を子供達に教えていた。


「私の事はお母さんって呼んでも大丈夫よ!ちなみにお父さんはリョータよ!」


何故そうなった…?


他の3人はその手があったか!って言ってたけど…年齢的に無理があるんじゃないか?


「えぇっと…いきなりは恥ずかしいので…奥様では駄目でしょうか…?」


「仕方ないわね…でも慣れてきたらお母さんって呼ぶのよ!」


くだらない事を言っているので脳天に手刀を叩きつけておいた。

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