第6話執事は万能

「呼び出して悪いな」


俺は客人扱いなので特にそこら辺は気にしていない。


「あ、これは俺の妻だ!」


「はじめまして。主人からお話は伺いました。イセリナと申します」


イセリナさん…


めっちゃ美人やん…


「何処まで話しました?」


「まぁ一通りかな。安心しろ!俺の妻だぞ?」


いや、その自信は何処からくるんだろうか…


「主人のお話ですと違う世界から来られて苦労なさったと」


間違っていないね。


「それでな、イセリナにあの飯を食わせたいんだが…」


「いいですよ。お世話になってますしね」


俺が米と味噌を目の前に出す。


何もない場所にいきなり米俵と○コメのようなパッケージに入った味噌が出てくる。


何回見ても不思議だ。


「まぁ!これがそうなのですか?」


イセリナさんが興味津々だ。


「物のついでに申し訳ないんだが…やってくれるか?」


「勿論!台所借りますよ」


と思ったが米俵はどうしよう…重いんだよなこれ。


「大丈夫だ!おーい!」


「お呼びでしょうか?」


執事さんは何処から現れたんだ…?


「これ台所に運んでおいてくれるか?」


「畏まりました」


え?運べるの?


「うし!さっさと行こうぜ」


いや、でも…


「いいからいいから!あいつに任せときゃ大丈夫だっての」


ええ…


「ここが台所な」


おー台所ひろ・・・い・・・


何故米俵がある・・・


執事さんいるし!


「な?」


いや、な?じゃなくて…


「執事なら当然です」


いや何が?


考えるのは止めよう…どうせ判らないし…


思考を停止しながらご飯と味噌汁を作った。


「まぁ!白いお料理って珍しいですね」


喜んでもらえて何よりだ。


米と味噌汁だけだとさびしいので他の料理もメイドさんに作ってもらった。


メイドさんは俺の知っているメイドとは違いおばさんだった。


これが本来の形ではないだろうか?


執事も若い男ではなくおじさんぐらいの年の人の方がしっくりくる。


「この白いのだけだと味がしませんね…」


「他のと一緒に食べてみろ」


「あら…あらあら…」


「うまいだろ?」


「そうですね…何も味がないだからこそ他の食材を際立たせる…これは魔法の食べ物ですね!」


喜んでいただけたようで何よりだが言い過ぎじゃないか…?


そのまま食事は進んだ。


「早速で悪いんだがリョータは今後どうしたい?」


「今の所道は二つですね…食事を出すか業者をするか」


「なるほど…まぁそれしかねぇな」


「其の前にこの世界の事を知りたいので少し旅に出たいと思ってますね」


「悪くないな。がお前さんは腕がないだろ?どうするんだ?」


「そこが問題なんですよね…」


この世界は日本と違い通常の道には危険がいっぱいなのだ。


「そこで取引だ。俺がある程度の金を出す。お前は俺に米と味噌を出す」


悪くない取引だ。


「どの程度欲しいですか?」


そういうとアドリアーノさんは俺を手招きした。


外まで出て倉庫っぽい所へ


「ここが満タンになる程度」


結構な量だけど問題ないな。


「大丈夫ですけど米の保管方法を僕は知りませんよ?」


「大丈夫だ!うちにはあの執事がいるからな」


理由にはなってないが何となく納得してしまう。


「交渉成立だな!」


握手を交す。

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