第5話アンタ結婚してたんか…

翌日


アドリアーノさんの馬に乗せてもらい王国まで連れて行ってもらう。


尻がめちゃくちゃ痛い。


門に到着。


「アドリアーノさん!おかえりなさいませ!」


「おう!何か変わったことはあったか?」


「いえ!特に何もなく平和です!ところでその後ろの方は?」


俺の事か…なんて説明すればいいんだろうか。


「あーこいつはな…リョータって言って俺のすげぇ遠い親戚だ」


そうきたか…しかし無理があるんじゃないのか?


「はぁ…親戚ですか…?」


めっちゃ疑っている。


「親戚っても本当に遠過ぎる親戚でな。途中で話して多分繋がってるな程度なもんだよ。ほらこいつの入場料な」


「畏まりました。入場料を受け取りましたので問題ないです!」


「身分も俺が保証するから問題ないよな?」


「ありません!」


それっていいの?職権乱用じゃないのか?


「気にすんな!俺は騎士団で偉いからな!」


じゃあ、気にしないようにしよう。


王国はデカい。


建物ズバー!城がドーン!人がいっぱーい!


「ここは世界の中心ですか?」


「少なくともこの島じゃ中心だな」


なるほど…東京みたいなもんか。


それにしても…


耳が長い。獣耳が付いている。尻尾がある。


あれが話しに聞いていた人間ではない種族か。


「アドリアーノさん。あの人達はエルフと獣人ですか?」


「あぁ、昨日話した奴らだな。獣人は珍しくないがエルフは珍しいな」


「そうなんですか?」


「エルフは基本的に森に篭ってるからな。人里には出てこない事が多いからな。多分冒険者だろ。弓矢装備してるだろ」


言われてみると彼女は弓矢を装備していた。


彼女の周りにも冒険者らしき人達がいる。


「これから依頼でも受けに行くんだろ。」


冒険者か…ちょっと憧れるが俺のスキルじゃ役に立たない。


野宿でも確実に飯が作れる程度じゃいないのと一緒だ。


「うし、とりあえず俺は城に報告に行くんだが…お前金持ってないよな?」


「残念ながらゼロですね」


「したらお前しばらく俺の家に泊まってけ」


「え?いいんですか?」


「昨日の話しもまた聞きたいしな」


よかった。俺も聞きたい事があるから大いに助かる。


「今の僕は遠慮すると死んでしまう可能性があるのでお世話になります」


「おう!んじゃちっと家に寄るか…お前ら先に戻っとけ!」


「「はっ!」」


A君B君は気持ちが良い返事をすると城の方へと馬を駆け出した。


「ここが俺の家な」


さすが騎士団の団長と言うべきなのか…家がデカイ


「おーい!帰ったぞー!」


「旦那様!おかえりなさいませ!」


アドリアーノさんより年上でダンディーなおじさんが出てきた。


格好から推測すると執事だな。


「イセリナはいるか?」


「はい。奥様ならお部屋にいらっしゃるかと」


あんた結婚してたんか!


「あ、それとなコイツ拾い物なんだわ。しばらく家に泊めるから客として扱ってくれ」


「畏まりました。」


「んじゃ俺は報告に戻るわ。終わったら帰るからそれまでこいつよろしくな」


「はい。気をつけて行ってらっしゃいませ。」


アドリアーノさんは再び馬に乗って城へと向っていった。


「それではお客様。こちらへ」


執事さんに促され俺は屋敷の中へ入った。


「すっご…」


感想はそれぐらいしかなかった。


本当に圧倒されるぐらい広かった。


「こちらでおくつろぎ下さいませ。何かありましたら机にあるベルでお知らせいただければと」


「判りました」


「では、失礼致します」


静かに部屋から出て行く執事さん。


何と言うか至れり尽くせりだ。


それから俺はベットの上でひたすら考え込んでいた。


俺はこの世界で何をすればいいのか。


この米と味噌で出来る事…


一つしかない…いや二つか


飯を販売するか卸業者をやるかだな。


それ以外の道がない。


どちらがよりこの世界で生きていけるだろうか。


コンコンっと扉を叩く音が聞えた。


どれだけ考えていたのだろうか既に日は沈みかけていた。


「はーい」


「失礼致します。旦那様がお戻りになられました。部屋に着てほしいとの事です」


執事さんに案内され部屋の前に到着。


「旦那様。お客様をお連れ致しました」


「おーう。入ってくれ」


俺は扉を開け部屋へ入った。

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