14.自主練のその後
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翌朝。
と言っても俺は魔法の練習に時間を使っていたので半分、というか殆どオールに近いようなものなんだが、ケーナちゃんはしっかり眠っていたらしい。
朝日が昇り始めた頃に、所謂朝帰りってやつ? をしたわけなんだが、戻ったときはしっかりぐっすり眠っていた。
まだ赤い朝日の光がカーテンの隙間から差し込み、その幼く美しく、そして磁器のように白い肌に照らされたケーナちゃんの姿は、素晴らしく幻想的な雰囲気を纏っていた。これはいい年した大人がロリコンになってしまうという理由も頷けるな。
そして、部屋に戻った俺はもう最近では習慣と化しつつある早朝の清掃を行い、ケーナちゃんの目が覚めるまでの時間は魔導書を読むことに使った。
結果、どうやらこの著者は先ほど使った『
例えば『
例えば、自身を守るように半球上に守護結界を発動したなら、どんな獲物でもその結界を突き破るのは魔法を解除するまで不可能ということだ。
ただしこれにもデメリットはある。
一つは結界内から結界外に物を通すのも不可能、もう一つは発動可能継続時間は最大で三十分、というもの。
一見するとこれは防御特化に見える魔法だが、うまく運用すれば攻撃にも転用できそうな魔法である。デメリットはありこそすれ、無能魔法というわけではない。
むしろ最強の盾を手に入れたようなものだ。
そして、もう一つ、新たな無属性魔法がこの魔導書に記載されていた。
それが『
効果は、対象者の眼球内の魔力を操ることで対象者の虹彩に入る光を遮断し、一時的に失明状態にできる、というものだった。
難易度はかなり高いらしいし、失敗すると永遠に視力を失うらしいので下手に身近な人相手に練習はできないが、これは獲得すれば大きな武器になり得る。
「…………ンさん?」
いまだこれと言って大きな戦闘力を手にしたわけではないが、総合力で見れば大きなものを手に入れたことには間違いないだろう。
ちなみに、この視界簒奪と似たような形式の魔法が闇属性精神操作系にあるらしい。
「……イエンさん!」
あとは俺が実践級の格闘術を手に入れるか攻撃に使えるような魔法を習得すれば、ひとまず一週間後の決闘は何とか乗り切れる可能性が見えてくる。
……とりあえず筋トレでも始めて見るか?
「サイエンさん!!」
「おおっと、突然大きな声出すね。びっくらこいたよ」
「うるさいです。何回も呼びかけてるのに返事しないサイエンさんがいけないんです」
あれ? 俺そんなに無視してた?
やっべ、俺クソ野郎じゃん。一回身投げてこよ。
「それで、こんな朝早い時間にどうしたの?」
「昨日言ったじゃないですか。一週間後、私達は決闘に勝たなきゃいけないんです。そのためのサイエンさんの特訓、ですよ!」
……えぇ~?
こんな朝早くから?
ケナラッシュ、僕もう疲れたよ。
「ちょっと寝かして?」
「ダメです! どうせさっきまで寝てたんですから、練習行きますよ!」
そうして私は、長い長い、魔法訓練の旅へと出かけるのでした。
おしまい。
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