猫ブログと俯瞰した目線

『金魚鉢にネコにゃん一杯入ってる写真みつけた!! どーゅぅことなの? ネコにゃんは液体なの? カンペキに溶け合っちゃってるョこれ?! すごぃ! ちょーかわぃい!』


たしかに軟体動物かってくらいグニャグニャなときある。


『ネコにゃん持ち上げてる写真!! ちょ、すごぃ! 伸びすぎだョ!! ヘビさんの親戚かなにかなの?!』


さすがに爬虫類との血族説はどうかと思うわ。可愛さから遠のくし。


『ネコにゃー自分の顔蹴飛ばして、怒って自分の足に噛みついてる動画!! バカすぎ! バカかわぃいぃ?』


君も割りとバカかわいい系だと思う。

といった具合に連日続く猫ネタで、もはやスイーツブログというよりも猫ブログの様相を呈してきた昨今。


彼女をこんな猫ブームに放り込んだのはだれだ。僕も猫は好きだが、こうも連日だと少し心配になる。

……しかし、ブログにいちいちツッコミを入れている今の自分の方を心配すべきかもしれない。


さらに俯瞰すれば、

真冬の夜、誰もいない公園で、空に向かってブツブツと何か呟いているこの状況は不審者そのものだ。しかもその顔は、満足げに微笑んでいると来たもんだ。


早く何とかしないと……

己を顧みるように夜空を仰ぐ。


『ネ にゃー自分の  飛ばして、怒って  分の足に噛みつ

バ   ぎ! バ     ぃいぃ?』


目がかすむ。断片的に抜け落ちる文字列。


「っくしゅっくしゅんっ」


身体の芯から凍りつくような感覚を思い出す。

寒い。寒すぎだろ。


もう、帰ろう。

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