子供が初めて直面する身近な人の生と死と、その狭間の葛藤が素敵に表現された作品です。それは見間違いか勘違いかそれとも現実か・・・
祖母の葬式を思い出しました。あぁ、骨上げって確かにこんな感じだったなって。精緻な描写で読者に実感を持たせつつ、非日常を挟むことでいい味を出している。さながら、闇の中に浮かぶ灯篭の火のよう。夏の夜にぴったりと、ひっそりしたお話です。
祖父母の死などは直面したことがある方も多いでしょう。火葬の骨上げのお話です。慕われていた祖父の変わり果てた姿。そして、不思議なこと。
大人にも子どもにも、みんなに好かれていたおじいちゃんが亡くなった。葬儀。火葬。骨。そこで小学生の『僕』が見たものは。みんなに好かれていたはずのおじいちゃん。口をつぐむ大人たち。知らぬが仏――ということでしょうか。じわじわと、ゾッとするなにかが不気味にせまってきます。