第36話
「お姉さん、アーニアさん、ありがとうございました!
今日の準備も私1人じゃこんなにしっかり出来なかったです。
本当に助かりました!
またお借りしたジュエリーを返しに伺いますね。」
私の首と耳にはお姉さんから借りた青い宝石と銀のジュエリーが輝いている。
「いいのよ。それはみどりちゃんにあげるわ。
女の子だもの、ジュエリーの一つや二つ持っていたほうがいいわ。」
えぇ!?
こんな高価なものいただけないよ!!
でも何度もらえないと言ってもお姉さんは頑なにいいのよ、と言ってくるだけだ。
「姉上がいいと言っているんだから、いいのだろう。
そのまま受け取りなさい。」
「・・・わかりました。ありがとうございます、大切にします。」
「ええ、そうしてちょうだい。
それじゃまた王都に来た時は寄ってちょうだいね。
楽しみにしているわ。」
そうして私とあおいさんは馬車に乗り込んでお父さんとの約束のレストランへと向かった。
あのネックレスとイヤリングはお父様がお母様にプレゼントしたもののうちの一つだ。
青い宝石と銀のネックレスとイヤリングのセットで、お父様が自分の色を身につけていて欲しいとお母様に送ったものだと、幼い頃にお母様が話してくれた。
きっと、私が持っているよりもみどりちゃんが持っているほうがいいわ。
なんたってセレストはお父様と同じ色だもの。
それにセレストもみどりちゃんに自分の色のドレスを用意するなんて、無意識だとしてもやるじゃない。
今日のみどりちゃんには、あのジュエリーがぴったり似合っていたわ。
レストランに着いたようだ。馬車が止まる。
慣れないドレスでなんとかあおいさんにエスコートされ馬車を降りる。
「うわぁ、すごい。」
到着したレストランはこれ、レストラン?って聞きたくなるほど広くて豪華で華やかだ。
かっちりとしたウェイターについて行くと個室へ案内してされた。
「こちらのお部屋です。」
そうか、公爵様だもんね。
個室じゃないとまずいよね。
あおいさんのお父さんはまだ来ていないみたい。
「公爵様だなんて知らなかったですもん、緊張します!」
「今日は個室だし個人的な食事だからそう気にすることはない。」
個人的な食事だろうが気になりますよー!
どうしよう、どうしようと思っているうちにあっという間に時間が経ってしまった。
あおいさんのお父さんが着いたらしく、ウェイターがこちらに案内をする声が聞こえる。
「こちらのお部屋です。」
「待たせたな。」
銀色の髪に青い瞳。
色は似ているが、顔や体格はあおいさんよりもがっしりしてるかな?
お姉さんがあおいさんは色はお父さん似で顔はお母さん似だって言ってたもんね。
「はじめまして。
ヒンメル・オルヴェーニュだ。」
「はじめまして。
ミドリ・フヅキです。
あおいさんの弟子になりました。
よろしくお願いします!」
あおいさんのお父さんがじっとこっちを見ている。
「そのネックレスとイヤリングは・・・。」
「これは、エステルさんにいただいたんです。高価なものだからお断りしようと思ったんですけど・・・。」
「いや、いい。
それは君が持っていなさい。」
お父さんはあおいさんと私を見てそう言った。
その後は食事をしながらあおいさんが仕事の報告や近況報告をした。
1年分の報告だからか、誰々からアーシスに行きたいと申請があったとか、誰々が今年エスティエーリルから戻る予定だとか、ものすごくたくさん伝えることがあるみたい。
最初は緊張して味もわからないかも、と思っていたけど、あおいさんとお父さんは仕事の話に集中していたから私は高級レストランの美味い料理をしっかりと味わえた。
「それではお父様、また。」
「あぁ、またな。」
お父さんは普段領地にある屋敷に住んでいるみたい。
たしかミラも領地に含まれているって聞いたから。近くにいるならもっと会えばいいのにと思ったけれど、きっと昨日聞いたお義母さんとのことなどいろいろな会えない理由があるんだろう。
「ミドリ、セレストをよろしく頼むな。」
そう言ったお父さんのはとっても優しい顔をしていた。
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