第35話
「おはようございます、みどり様。」
え!?誰??
ここどこ!?
あ、そうか。
あおいさんの実家に泊まったんだった。
目を覚ましたらものすごい豪華な天井が目に入ってびっくりしてしまった。
「おはようございます。
エステル様よりみどり様のお手伝いをするように命じられました、アーニアと申します。
本日は公爵様とのお食事の予定が入っていると聞いております。
みどり様をピカピカに磨くよう指示されておりますので、朝食をとった後はさっそく湯浴みをいたしましょう。」
貴族とのお食事、なめていました。
こんな時間から準備!?と思ったけれど、湯浴みに香油マッサージ、全身の毛をワックス脱毛され爪を磨く。
「みどり様は日焼けをしていない、白くて綺麗な貴族のお嬢様のようなお肌をされていますね。」
はい、すみません。
職場と家の往復で全然外に出ていなかったから焼けてないんです。
冒険者を始めてからも、黒髪と黒目が目立つからとローブを着ていたから日に焼けていない。
それからあおいさんの用意してくれたブルーに銀糸のドレスと濃紺の靴を履き、ジュエリー は私のを貸すわ!と、エステルさんとアーニアさんがあれでもない、これでもないと私に合わせながら選ぶ。
「髪型の希望はございますか?」
「いえ!お任せします!」
「では髪はロングの黒髪がお綺麗なのでハーフアップにさせていただきますね。」
これは余計なことは言わずにプロに全部任せたほうがいい気がする。
昼食のサンドイッチを簡単に摘みながら、ヘッドマッサージ、ヘアケア、ヘアセットをする。
メイクもこんなにしっかりしたことがないと言うくらい丁寧にしてくれた。
でもやっぱりプロだね!
しっかり塗ったけど濃く見えない技術がすごい。
「最後にリップを塗って・・・。
はい!こちらで完成でございます。
いかがでしょう?」
だ、誰??
鏡に美人が見える。
美しいドレスにキラキラ輝くジュエリー。
最初の宣言通り全身ピカピカに磨かれて髪もメイクも完璧だ。
エスティエーリルに来るようになってからは魔法で作ったトリートメントや化粧水を使ってケアしていたけれど、それとは比べ物にならないくらいツヤッツヤのプルプルだ。
「こちらでは珍しい黒髪と黒い瞳が映えますね
髪もお肌も艶々でお美しいです。」
「あ、ありがとうございます。
これが自分なんて信じられない。」
みどり様は素材が良いですから、磨けば磨くほど輝きますよ。
そうアニータは微笑みながら言った。
コンコン。
「準備はできたか?もうそろそろ出ないと食事の時間に間に合わなくなってしまう。」
午前中に準備を始めたときは早過ぎじゃない!?って思ったけれど、もう外が夕焼けで赤くなっている。
「お待たせいたしました。
ちょうど今終わったところです。」
部屋に入ってきたあおいさんも黒地に所々銀の入った華やかな正装をしていてものすごくよく似合っている。
「あの、あおいさん、どうですか?」
「あ、あぁ。
思ったよりも似合っている。
なかなかいいんじゃないか?」
よかった。
黙っているから、あおいさんがせっかくドレスと靴を用意してくれたのに似合っていなかったのかと心配になってしまった。
「あらあら、セレストはやっぱり言葉が足りないわね。
美しいと思ったら口に出して褒めないと。
そんなんじゃ、他の男性に取られちゃうわよ。」
「うるさい。
ほっておいてくれ。」
お姉さん、何か勘違いをしてますよ!
私とあおいさんはそういうんじゃないんです。
ほら、あおいさんも怒ってる!
私とあおいさんがなんて、こんなにかっこいいあおいさんに失礼ですよー!
「ふふっ、あらあら。」
ずっと1人でいたセレストに素敵な子が見つかってよかったわ。
でも、この調子だとお互いにまだ気づいていないのかしら?
さっきドレスアップをした姿を見た時なんて、お互い顔を赤くして惚けていたのに。
このまま2人が上手くいくことを願っているわ。
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