第15話
「終わらない・・・。」
やばい、このままだと先に弓波さんが来てしまう。
約束の18時まであと20分。
さっきから必死になって進めているが時間ギリギリに終わるかどうかといったところだ。
ピロン
弓波さん:“着いたぞ。”
はや!!!
え、まってまって
“もう少しかかります。
近くのカフェかなんかに入っててください。”
弓波さん:“大丈夫だ。”
何が!?
何が大丈夫なの!?
周りが!周りが大丈夫じゃないんです!!
みどりは必死になって仕事を終わらせ、弓波の元に向かった。
ビルの1階に降りると、なにやら騒がしい。
え?めっちゃかっこよくない!?
どこの国の人なんだろー!
スタイル良すぎる・・。モデル!?
あああああああ!!!
弓波さん!!!
みんな遠目から突然現れたありえないほど美形の弓波さんの様子を伺っている。
中には何人かうちの会社の人もいるみたいだ。
こんな中私なんかが声をかけたら周りがどんな反応をするか、考えただけで恐ろしい。
そっと様子を伺っていると、弓波さんがこちらに振り向く。
「みどり!なんだ、もう来ているんじゃないか。
待ちくたびれたぞ。」
ひぇぇぇぇぇ。
痛い!視線がいたい!!
「行きましょう弓波さん!!」
私は弓波さんを連れ早足でその場から立ち去った。
「カフェかどこかに入ってまっててって言ったじゃないですかー!」
「すぐ約束の時間なのに、そんな必要ないだろう。」
あるんです!
私に必要だったんです!
現に今も周りの視線が痛い。
なんであんな子が一緒に?という視線だ。
「だいたい、弓波さんが綺麗すぎるのがいけないんです。」
「なんの話をしているんだ。」
「弓波さんが美形すぎて注目を浴びてしまうという話です。」
そう言うと弓波さんは少しだけ眉を寄せた。
「ふん。
で、リリーには何を買う予定なんだ?」
「うーん、むこうにないものがいいんですけど、何がいいかわからなくて。」
「簡単なのは食べ物だろうな。女の人は甘いものが好きだろう。」
食べ物か。
女の子が好きそうな、見た目も可愛いお菓子にしようかな。
「こういうのはどうですか?」
チョコレート、クッキーがドライフルーツやナッツで可愛くデコレーションしてある。
「向こうの菓子はシンプルな見た目のものが多い。喜ばれるんじゃないか??
あとチョコレートは向こうにはないからいいと思う。」
「これにします!」
すぐに決まってしまった。
「あと買うものは??」
「ないです。
思ったより早く決まってしまって。」
「では食事でもして帰ろう。」
「はい。」
弓波さんとお店に入るとやっぱり大注目だったが、弓波さんがいつもと同じ調子なのでなんだか慣れてしまった。
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