プロローグ
第3歩 冒険・戦闘 withライガー
「ザック!うしろッ!!」
「ッ!?」
ソラの声に後ろを振り返るも、背後には何もいない。
幾つかの樹々や
しかし、その景色の中で、ザックの視界に捉えられることのなかった一匹の魔物が
ソラの声から数舜して足元へと迫った地面の
しかし、既に攻撃態勢に入っていた魔物にとって、それは
地面の隆起から勢いよく飛び出してきた新たな魔物の体当たりによって、ザックは大きく体勢を崩した。
もぐら型の魔物である【
地面下でのその推進速度は、同格の魔物や人族のそれを一切寄せ付けない。
土竜の出現により、三対一から三対二へと
シードルが魔物に対して数の上で優勢なのはまだ変わらない。
しかしそれでも、その数の優勢は一匹の魔物の出現で、土竜の出現で明白に揺らいだ。
体勢が崩れたところに背後から飛んでくる
絡め取られる軸足。
ザックはその洗練された連携攻撃によって、受け身も取れず大きく転倒した。
「ライッ!電撃ッッ!!」
「グラァァ」
ソラの指示にライが電撃を放ち、殺人植物である【
それにより、転倒し蔦に引き摺られていたザックはどうにかその場に留まるも、土竜は間髪を入れずザックへと襲い掛かる。
「ッハッッ」
ライへと指示を飛ばしながらも、土竜との距離を詰めていたソラは土竜に斬り掛かった。
そのソラの攻撃を待っていたとばかりに、ザックへ定めていた爪の狙いをソラへと切り替える土竜。
岩をも掘り進める土竜の鋭利な爪とソラのダガーが金切り音を上げでぶつかり合う。
土竜とソラの、爪とダガーの斬り合いは互角。
一瞬でも気を抜いた方が、その体躯に決して浅くない
しかし、たかがもぐらと植物と言っても、ソラたちがまだ到達していない五島の魔物。
例え、先日レッドグリズリーを討伐したと言っても、ソラたちはまだまだ駆け出しの
考え抜かれた策もなく自力で
ソラと土竜が斬り合いを演じる隣では、体勢を立て直した人族のザックとライガーのライが花化けに相対する。
が、一瞬の連携の隙間を縫った花化けの一本の蔦に、ライとザックは
ソラは背後から腕を取られた。
その隙を逃さずソラの腹部を切り裂く土竜の爪。
「うぐぅぅ」
防具の隙間を狙っての切り裂きに血飛沫が舞う。
自身は持ち合わせていない鮮血を、魔物は、土竜は、それ欲していたかの如くソラへと追撃を見舞った。
ダガーの双剣でやっと互角であったソラと土竜。
二対二から二対一へと攻撃の手が劣勢となったソラの体躯に、次々と決して浅くはない
「好き勝手、させるかぁぁ!」
幾つかの時と傷が刻まれた
「くッッ」
しかし、既に体躯を斬り刻まれたソラには、土竜との斬り合いを再開する力は残されていなかった。
ジリジリと後方へ押し込まれ。
土竜の爪を往なす両の手は痺れる。
そして、身体は至る所から血が滲み出していた。
それでも、前に進むには眼前の魔物を退ける他にない。
ザックとライで花化けを抑え込んでいる今、この魔物を倒せるのは自身のみ。
援護を待つ体力はもう残っていない。
土竜という魔物の討伐を仲間に託されたからには、この局面を乗り越えるしかない。
ソラは残っている全ての力を振り絞って両腕を振るった。
爪を弾き、弾き返され、また弾く。
再び始まったソラと土竜の攻防。いや、攻攻。
双方が守りを捨てた攻めの手で相手を
「ッハッッ」
そして、土竜の腹部に突き刺さるソラの利き足。
視界の外から現れた想定外の攻撃。
足の短い土竜には攻撃の一手として想定できない一撃に、土竜は後方へと吹っ飛ばされ。
いつの間にか背後に背負ってしまっていた巨樹へと叩き付けられた。
『ッグギュッッ』
醜く漏れる土竜の
そして、眼前の敵は頭部を落とし。
巨樹の根元に
しかし、当然これで戦闘が終わった訳ではない。
ソラは戦闘音の鳴り響く背後を振り向いた。
ソラの瞳に映し出される、花化けに果敢に挑む一人と一匹の姿。
盾を蔦に奪われた一人と、身体に幾本もの蔦を巻き付けられた一匹。
それでも、
そして、二匹の魔物がソラたちに
そう、まだたった二匹だけの魔物が。
ガサッ ガサッ ガサッ
草叢から伸びる蔦、隆起する地面。
ソラとザック、そしてライの荒い息遣いが響くその空間に、再び無傷な花化けと土竜が姿を現した。
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