冒険:エピローグ

第36歩 帰還Ⅰ

「ソラっ!!」


 ニコルが、ゲートの方から手を振りながら近付いてくるソラに気付く。

 そして遅れて、ソラがライガーに乗っていることにも気が付いた。


 三島の探索で利用していたレストポイントまで戻ったソラをニコルとザックが温かく迎える。

 ソラがライガーから降りるや否や、ザックに支えられたニコルがゆっくりと近付いてきて。


 ソラとライガーに抱き着いた。


「お帰り」

「ただいま」


 三人全員の目に涙が溜まり、優しい時間が流れる。


 でも、そんな時間の中でも、


「神殿に着くまでは気を抜かないんじゃなかったのか?」


 そんな普段通りの冗談を言うザックに、三人はいつもの調子で笑い合った。



「本当に心配したんだからっ!」

「はい…。ごめんなさい」


 ソラとライガーが戻ってから数分後。


 全員の生還に一通り喜びを分かち合った後、すぐにニコルによる説教タイムが始まっていた。

 既にレストポイントから帰路についており、ソラとザックは徒歩で、ニコルはライガーの上に乗っているので、ニコルがソラとザックを見下ろす形になっている。


「ザックも!何でソラとライだけ置いて逃げたのっ!?」

「はい…。すみません…。申し開きもありません」


 ソラとザックはそれの後も数分において説教されることになるのだが、そこは割愛かつあいして。


 ライガーには、全員一致で『ライ』と名前が付けられた。

 その他にも、ライザップやフライングタイガーなども名前の候補に上がったのだが、名前が長いと戦闘での連携が難しいなどの理由から却下された。


 あとは、ザックが、


「よくレッドグリズリーをけたな?」


 と、訊いたのに対してソラが、


「うん。実は……倒したんだ」


 と、答えた事で、


「倒したぁーーーーーーーー??!!!」


 と、ザックとニコルが大声で驚いて。


 魔物が集まってきてしまって戦闘になったこと。

 そして、魔物を倒した後も、ソラがザックとニコルに根掘り葉掘りの質問攻めにあったこと。

 

 それも、また別の機会に。

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