教育セクトの成り立ち【読み飛ばし可】

 教育セクトとは、新界しんかいを進む上で必要となる知識や技能の教育を請け負っているセクトのことだ。


 シードル新界開拓者を引退した後の職業としても人気があるようで、上級や中級の元シードルが教官として多く在籍しており、僕たち後進を日々指導してくれている。


 ガレリアには本当に大勢の人たちがシードルを目指してやってくる。


 その理由は実に様々で、それは一攫千金だったり腕試しだったり憧れだったり。


 それに、種族の復興の為に何が何でも名を馳せなければならないといった並々ならぬ決意を胸にやってくる人もいれば、魔物を切り裂くのが何よりも好きでここは天国だなんて言っているちょっと危ない人なんかもチラホラといたりする。


 昔も今と同じように色んな背景の人がいて、尚且つなおか能力や知識の有無に関わらず誰でもシードルになれたもんだから、それはそれは沢山の新人が一月ひとつきも経たない内に命を落としていたらしい。


 そういった状況に対して、それではマズイと考えたガレリアの人たちが有志で新人の教育を始めたのが教育セクトの始まりだと教わった。


 それが今では、シードルになる為の認定試験が設けられ、試験の合格に向けた実技や座学の基礎講習を教育セクトで三ヶ月間受けることが義務付けられるまでになっている。


 この教育や試験の制度により、将来を担う有望な新人が大成する前に死んでしまったり、逆にシードルではない道でなら活躍できたはずの新人が何も成すことなく死んでしまうといったことも少なくなったらしい。


 ちなみに、試験に合格しなければ新界に繋がるゲートをくぐることは勿論できないので、それまではもっぱ人界じんかいでのアルバイトやクエストを熟すことで生活費を稼ぐ必要があるんだけど、意外とこれが大変だったというのは別の話で……。


 試験に合格した後も希望者は続けて三ヶ月間の応用教育を受けることができる。


 これは、人界では学べない新界での魔力や魔法の操作、対魔物や地形別の戦闘、素材や魔石の採取などについて実際に新界におもむいて学ぶ実践形式の教育だ。


 ザックとニコル、そして僕はこれら二つの教育を同じグループで受けた縁もあり、今こうしてパーティを組んで活動している。

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