第24話 あらやだ! みくちゃんたらいじめっこなの?

「んっふふ~、みっくちゃぁ~ん、やっほーっとぉ」


 何やらノリノリでヨシエさんがやって来た。ちっ、やっぱり空気を読む機能は搭載されてないらしい。


「あら! あららららららら……!」


 と、ヨシエさんは早速コウちゃんを発見して目を丸くしている。


 まぁ、この反応は想定内よ、想定内。要は、私が『この小さなおばさんが見えている』ということがバレなきゃ良いのよ。


 コウちゃんが勝手知ったるといった(そりゃそうだけど)感じでトイレに向かった際に、ささささ、とヨシエさんに詰め寄った。


「ヨシエさん、お願いですから、しばらくの間黙っててください」

「え~? あたしテレビ見たいんだけどぉ」

「見てて良いから! ただ、黙っててください!」

「仕方ないわねぇ。チャンネルは『イワネ屋』よ。変えないでね」

「わかりました」


 久しぶりの再会のバックで芸能スキャンダルだらけの情報番組が流れてるのは正直ムードがないけど、この際仕方がない。頼むよ岩根いわねさん、あんまり面白いこと言わないでね。あとおならすんなよヨシエ。音もすごいし、くっさいんだから。


「部屋、片付いてるね」


 トイレから戻ったコウちゃんが言う。


「トイレもぴかぴかだ。びっくりしたよ」

「えへへ……まぁね」


 だってヨシエさんがうるさいから。


 なんて言えるわけもなく、冷蔵庫からちぎったキャベツを取り出してごま油と塩を振りかける。それと麦茶をテーブルに置いた。


「これ、みくちゃんが?」

「う、うん。ただキャベツちぎっただけだけど……」


 それを、ぱり、とかじると、コウちゃんはほろりと涙をこぼした。


「コウちゃん?」

「泣~かした、泣~かした~。み~くちゃんが、泣~かした~♪」


 うるせぇ、ババァ!!

 ああもう、その顔! むっかつく!!


「い~けないんだ~、いけないんだ~! アーッハッハッハ!」


 あいつ私が注意出来ないからって……!

 黙ってイワネ屋見てろや!

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