第6話 肉食系女子
「……もうお婿に行けない」
「……正直やりすぎたのです」
テカテカした口元を拭って頭を下げるのは、俺の唇を奪い、まさかの舌を入れてきた小悪魔紗那だ。
ぬるぬるねちょねちょれるんれるんと……今もまだ紗那の舌に口腔内を犯されている錯覚に陥ってしまうほどディープな舌使いに、何度失神しかけたかわからない。
それでも今まで意識を保てたのは、失神しまいとする俺の努力の結果――ではなく、失神しかけても強烈な刺激に目を覚まされたからに過ぎない。
「先輩……ちょっとお手洗いに――いえ、長丁場になりそうなので、今日は解散したいのです……」
そう提案した紗那は、さっきまでの快楽を思い出しているのか、顔を真っ赤に上気させ、もどかしそうに身を捩って太ももを擦り合わせていた。
いくら彼女いない歴=年齢の俺でも、今の紗那がどういう状況なのかは察してやれる。っていうか俺もヤバい状態で、全く小さくなる気がしない。
しかし、本題の魔法についてのレクチャーが中途半端な状態で帰ってしまうのも本末転倒な気がして即答はできない。
「早くしないとエロゲのように襲ってしまいかねないのです」
「えっ?」
「物欲しそうにそわっとしないでほしいのです」
「ししししてないし!! か、解散だな!? よし! 今日は解散しよう!!」
「です。魔法の練習は明日から再開するので、今日は魔力の循環に慣れてほしいのです」
あ、ちゃんと魔法の練習のことを覚えてたんだな。
まあ、今は信じられないくらい幸せだけど、問題は何一つ解決していないんだから、何の宿題もなしに解散するわけがないんだけども。
「了解。場所は、ウチでいいよな? 後で住所送っとく」
「です。ちゃんとお土産も持参するのです」
「ん? いや、別にいいって。どうせ俺しかいないんだし」
「……そう言えば、先輩はエロゲ主人公のような、海外出張の多いご家庭の生まれだったのです」
「エロゲ主人公は余計だけど、大体そんな感じだ」
何をやっているかは興味がないので知らないが、毎月ある程度のお金を振り込んでもらえているので、特に不自由はしていない。家事は面倒だけど、食う金に困っているわけでも孤独に押し潰されそうなわけでもないしな。
「これは……好都合なのです」
「ん? 何が?」
「それは明日のお楽しみなのです。ところで、ちょっと落ち着いてしまったので、おかわりを所望するのです」
「おかわり? 何の――」
「もちろん、オカズなのです♪」
「え――きゃああああ!!?」
そうして再び俺を襲った紗那は満足げに体を震わせ、足早に帰っていってしまう。
一人残された俺は、ギンギンの愚息を鞄で隠しながら、千鳥足で帰路につくのだった。
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