元来、怪談とは未知を恐れる物語である。
得体の知れないもの、と言い換えてもいい。
理不尽であればあるほど、それは効果的である。
その点、この物語は実にシンプルに怪異を提示している――絵から虎が出て動き回るのである。
一体どうしろというのか。
いきなり理不尽極まりない脅威に晒された主役二人の悪戦苦闘と、少しずつ明らかになる怪異としての特性――物語としての解決に向けて、虎が何者であるかは明らかになっていく。
すると未知ではなくなる。
なるほど、怪談を解体しているのだ――しかし本当にろくでもない「得体のしれなさ」はその先に待っていて。
オチまで含めて秀逸な会談であった。