くさむらの、小さな。

めばえる、というのはどの様なことを言うのだろう。わたしの指の先から小さな小さな翼が生え、何処かへゆこうとしている、この様なことを言うのだろうか。

それとも


わたし、と私は語る。

しかしそのわたくしは、

あなたのまなざしから零れおちる、薄いうすい揺らめきではないのだろうか。

影さえものこせずに消えてしまうような。


あなた、と私は呼びかけ。

あなた、と私は呼びかける。


いらえる声はないけれど、

わたし、という曖昧なものが、凝るような気がするのだ。だから何度も。なんども、呼びながら輪郭をなぞり、呼び続ける。私を。私という不確かなものを、確かめるために。

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