夜のおはなし

@mojimajo

朝のおはなし

ひそめて、夜の話をしよう。

私たちがまだ未明だったころ。

あなたの声はあおく、

わたしの掌はちいさく、

すくいとる事はできなかった。


ああ、でもたくさんの話をしたね。

いつか見るであろうお日様のこと、

わたしの髪がふれる風のこと、

あなたのくちびるの優しさのこと。


いまだ、だからこそ

それはひそめられ、

焦がれずにはいられなかった。


あなたもそうであったら。


そうであったと、わたしは。

願ってしまうのだ、いつだって。


ひそめて、夜の話をしよう。

ふたつの記憶を重ね合わせて、

未だ声をもたぬ者だったわたくしたちが

重ねたいくつもの会話を。


思い出しながら

思い出すように

大きくなった掌で輪郭をさがし、

熱を重ね合わせて

いつかの夜のように。


ひそめて、夜の話をしよう。

私たちの未明が、訪れる前に。



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