第45話 おバカちゃんには困らない

「毎日、ニュースで、おバカちゃん(迷惑な人間)を見る。ネタには困らない。ただニュースを扱える職種はなんだ? また、おバカちゃんの法則、おバカちゃんの話の流れ、ストーリー、展開を考えなければいけない。それでいて、不謹慎であってはいけない。難しいな。」

 天は、2点3点の問題点がある。

「逆に、少しは良いことも考えてみよう。例えば、全英オープンで優勝した渋野日向子。あれでもパロディーは書けそう。しかし、目指すのは痛快コメディー。何が違う?」

 麗は、良い題材を見つけた。

「さあ! 試作スタート!」

 大蛇は、創作を開始する。


「ニコニコ。ニコニコ。ニコニコ。」

 全英オープンで42年ぶりに日本人として優勝した渋野日向〇は、ずっと笑っている。

「ニコニコ。ニコニコ。ニコニコ。」

 海外メディアには、スマイルシンデレラと絶賛されている。

「ニコニコ。ニコニコ。ニコニコ。」

 ずっと笑っているので、話が進まない。


「イライラ。イライラ。」

 前の組が遅いと待たされて、スタートが遅れる。

「モグモグ。モグモグ。」

 カーリングからの言葉だが、暇だと渋野日向〇は駄菓子を食べるらしい。

「タラタラしてんじゃねえよー!」

 食べている駄菓子の名前である。

「ダラダラしてんじゃねえよー!」

 本当は前の組が遅いので、待たされていてイライラして怒っているのかもしれない。


「さあ! 18番! ここでバーディーを取れば、渋野日向〇、凱旋優勝です!」

 先日の軽井沢オープンのことである。

「スカ!? 渋野日向〇! バーディーパットを外しました!」

 これで次は、パーパットの、入れば3人でプレーオフ。

「スカ!? 渋野日向〇! ボギーです!? 優勝を逃しました!」

 これで渋野日向〇の優勝はなくなった。

「これで静かに暮らせる。」

 テレビで見る限り、パーパットは丁寧ではなかったように見えた。本人も、異常なテレビの持ち上げに、スマイルシンデレラどころか、顔に疲れと、追いかけられるストレスで、目つきも怖く、表情もピクピクしている。どこから見てもプレッシャーを感じているのだろう。


「おバカちゃんは、マスメディア?」

 昔、石川くんを持ち上げすぎて、プレッシャーと大金が手に入り、見事に潰してしまった。何か話題が無いと、直ぐに新しいスターを生み出して、視聴率とスポンサーからの出資金を得ようとする。チャンスはチャンスであるが、どちらかというとストレスよりも、大金をCM契約とかで得てしまうと、本業のプレーをサボってレベルが落ちてしまうのは、歴史が証明している。まあ、来年、東京オリンピックがあるから、モチベーションは保てるだろう。


「なんでしょう? 書くには書いたが、四コマ漫画か、コラム的で盛り上がらない。やはり、悪役の方が書きやすい。渋野日向子の口から火を吐かす訳にもいかないし、タラタラしてんじゃねえよー! を大きく掲げてファンと楽しむ、なんてできない。良い人を悪く書く方が不謹慎。ニコッ。」

 笑は、本当に創作は難しいな~っと感じる。

 つづく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る