第13話

 それは雨の日のことだった。

「ちょっと寄り道していかない?」

 そう彼女は僕を引き止めると、胸を強調して誘惑してきた。

 ゴクリと喉を鳴らすと、彼女は続けて言う。

「ねえ、気持ちいいことしない?」

 彼女のウインクが僕の胸に刺さった。僕は無言になりながら、彼女に近づいた。

「うふふ、いい子ね。素直な子は好きよ」

 僕の頭を撫でた彼女は、僕の手を握って部屋の中に一緒に入る。すると部屋の中には数々のレトロなゲーム、大量のスナック菓子が置かれていた。

「さあ、次は勝つわよ。今日こそ正義の鉄拳を与えてあげるわ!!もう苦渋は食わないわ」

 彼女は拳をギュッと握りながら歯を食いしばり、悔しい顔をしながら僕を見ていた。その様子を見た僕はニコリと笑った。

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掌小説集 誠二吾郎(まこじごろう) @shimashimao

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