2.作中登場用語(魔術以外)その2
【概要】
本ページでは、作中に登場した各用語(魔術以外)について解説します。
※作中では言及されていない項目も一部含まれている可能性があります。
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【目次】
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◆一般用語(その1からの続き)
◇旧時代
◇旧語
◇エーデルベルタ流剣術
▽背焔の儀
◇ダルキアン流剣術
◆祝祭
◇復活祭(ペサハ)
◇謝肉祭(カルナヴァル)
▽大祓の儀式(アポトロペイク)
◆特殊な用語
◇冥府(シェオル)
◇煉獄(プルーガ)
◇半霊体(デミ・スピリタス)
◇漏路の実(くけじのみ)
◇禊祓の炎(フェブルア)
◇封じ手(ふうじて)
◇アールヴ族
◇ミスパル
◆現象
◇敏応(アルゴ)
◇界蝕(イロード)
◇妖獣化(ようじゅうか)
◆組織
◇貴族院(きぞくいん/アリストス)
◇渡リ鴉(コルクラーベン)
◇葉陰黽(グレヌイユ)
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◆旧時代
かつて大陸中には、現在とは比較にならないほど、遥かに高い水準の文明が数多く存在したといわれており、錬金術から派生した化相学、そして機巧学といった学問の発展によって、当時の人々は極めて豊かで便利な生活を営んでいたと言われている。
しかし競い合うように進化した各文明同士は、やがて限られた資源を奪い合うようになり、ある時に大陸全土を巻き込んだ大戦乱が勃発したとされる。
この戦乱により各文明は崩壊、さらに戦乱の影響により環境が激変したことで世界は酷く荒廃し、現代まで当時の原形を留めている幾つかの遺構や記録書を除いて、その高度な文明体系のほとんどが失われた。
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◆旧語
現在ではもともと存在した言語の多くが廃れてしまったが、特定の分野における用語や、各国の地名や人名、別の言語からの借用語として長く人々の間で浸透してきた言葉に限っては、現在でもその足跡をはっきりと見ることが出来る。
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◆エーデルベルタ流剣術
大陸最古の秘剣として知られている、長い歴史を持つ剣術。
現伝承者は、ベアトリクス・フォン・エーデルベルタ。
いかなる戦況においても自身が生き延びることを最優先とし、その教えには死地にあっても活路を拓くための知恵や技術が凝縮されている。
永く一子相伝によって伝承されてきたため、開祖の血族の中から選ばれた者がその術技を受け継いできたが、かつて大陸全土で致死的な疫病が蔓延した際に、失伝することを恐れた当時の伝承者が、真に心技体を備えた者であれば、しかるべき修練と儀式を経て伝承者となれることが認められるようになった。
術技は伝承者によって常に改良や派生術が編み出され、戦況に応じて新たな技が生み出されることすらもあり、その個々に洗練された術技の豊富さは、他の剣術とは一線を画するとされる。
▼背焔の儀
エーデルベルタ流剣術の伝承者となるために必要な最終試練のこと。
まず二人の候補者同士が特別に設えられた決戦場に入り、その時点での正統伝承者が、口伝のみで受け継がれてきた呪法を両者の身体にかけると、決戦場の周囲はたちまち猛火によって包まれるという。
決戦場の中に居る者たちは猛火により内側から外に出ることが叶わなくなるが、唯一その場所から出る方法として、呪法の媒体となっている相手の生命を奪えば、迫り来る炎熱地獄から生還することが出来るとされる。
この際、相手に止めを刺さなければ、戦いに勝利したとしても決戦場から出ることが叶わず、両者共に焼き尽くされる結果となるため、候補者らが決戦場に入った瞬間から、そのどちらかの死が確定することになる。
通例、候補者は儀式前に二人にまで絞られるが、仮にそうならなかった場合も、同儀式は伝承者候補が最後の一人になるまで続けられる。
これは一子相伝を徹底し、術技の意図しない流出を防ぐための措置であり、現伝承者による改変が加えられる前まで延々と続けられていた。
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◆ダルキアン流剣術
フィルモワールで発祥した、非常に長い歴史を持つ剣術。
現伝承者は、ノルベール・ド・ダルキアン。
同国で広く用いられている『エペ』という刺突剣を主体とした剣術体系を持つが、幻術を織り交ぜた術技や、通常の片手剣や両手剣、はたまた双剣にも応用可能な、実に幅広い適応力を示す。
相手の戦力を巧妙に減じさせ、なおかつこちら側が最大限の動きが出来るような立ち回りを行い、相手の戦意を喪失させた後、一気に叩き潰す戦法を得意とする。
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◆復活祭(ペサハ)
復活祭と称する祝祭自体は世界の各地に存在しているが、「ペサハ」と呼ばれる場合は、マタール王国を中心とした文化圏で行われる祝祭のことを指す。
「ペサハ」の起源は、マタール王国の文化圏において崇拝されている主神が、神話上における最終戦争において他の神々によって謀殺された後、人々の祈りを受けて復活したとされる日を盛大に祝ったことが端緒とされる。
この祝祭が行われる日は全ての殺生が原則的に禁じられ、さらに牢中の罪人たちにも一定の恩赦が与えられる。
また、祝祭中に行われる特殊な祭事として、非常に露出の多い煌びやかな衣装を身に纏った若い女性たちによる行進があるが、これは宗教上の戒律から普段の生活の中で親族以外の人間に肌を露出することが禁じられている女性たちが、この日だけは人前に肌を晒すことが赦されたことから、自然発生的に始まったものとされる。
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◆謝肉祭(カルナヴァル)
フィルモワールなど大陸の西側で広く催されている大きな祝祭の一つ。
旧語からの影響で「カーニヴァル」と発話する地域もある。
もともとは宗教色の強い祭事であり、肉や魚、乳製品や酒などの食事を絶つ『受難節(カレーム)』前の一週間に限り、羽目を外した祝祭に明け暮れることが赦されていた。
この間、人々は街中で踊り騒ぎ、露店などで飲み食いを楽しみながら、異性装を含む仮装行列を行ったり、水の掛け合いやお菓子の投げ合いなどに興じたりする。
かつては卵を人に直接ぶつけたり、毛布に包んだ犬猫を投げ合うなど、悪ふざけの過激化が見られたため、現在人々がお互いに投げ合っても良いとされるものは、花やお菓子、または空気を封入した豚の膀胱などに限定されている。
なお、祝祭の後に訪れる『受難節』でかつて行われていた慣習についてはすっかり形骸化し、敬虔な一部の信者を除いて、まともに従っているものは数少ない。
▼大祓の儀式(アポトロペイク)
謝肉祭における最後の日に、その締めくくりとして執り行われる祭事のこと。
この祭事では祝祭の期間中に人々が犯した狼藉の罪責を、人間に見立てた大きな
藁人形は一つではなく、儀礼的に施される疑似魔導陣と一緒に都市の複数箇所に置された後、特定の時刻を告げる鐘の音を受け、一斉に焚き上げられる。
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◆冥府(シェオル)
人間が死後、霊体となった状態で最初に赴くことになるとされる世界のこと。
俗に『あの世』などと呼ばれており、現世と冥府とを隔てている『幽門(かくれのもん)』なる境界線を越え、冥道という空間を通過することで到達することが出来ると言われている。
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◆煉獄(プルーガ)
冥府に達した人間の霊魂は、其処で上天(カエルム)に昇るか奈落(ナディル)に下るかを生前の行いをもとに定められるが、そのうち奈落行きが確定した霊魂が死者の洗礼を受けるまでの間過ごす場所が、この煉獄であるとされている。
そしてこの煉獄の下部には、禊祓の炎(フェブルア)という洗礼を行うための炎が常しえに燃え続けているとされる。
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◆半霊体(デミ・スピリタス)
生きながらにして霊体のみを一時的に切り離す古の秘術、『分霊術』によって分離した精神体のこと。
生体との繋がりを残していながら、霊体としての性質を持っているために、冥府への入り口である『
半霊体は極めて不安定な存在であるため、一定時間以内に生体に戻らなければそのまま消滅してしまうとされる。
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◆漏路の実(くけじのみ)
口にしたものを仮死状態にする効果を持った、青い林檎のような果実。
その果肉は稠密で仄かに甘く、食後から約五分ほどで意識が遠のくとされる。
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◆禊祓の炎(フェブルア)
奈落行きが確定となった霊魂が、死者の洗礼なる儀式を受ける際に用いられる炎。
この炎により霊魂は初めて死者と認められ、邪悪なるものは
上天に昇る霊魂にもこれに相当する炎があり、同様の洗礼を受けるとされている。
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◆封じ手(ふうじて)
世紀を跨ぐほどの間隔で妖魔の大集団が何処からか現れることは、もはや歴史が証明している事実であるが、その集団は無尽蔵に大量発生するのではなく、ある時期を境にしてその増加に急な歯止めがかかるとされている。
それは『封じ手』なる一族が、人間界と妖魔の故郷とされる異界との間を繋ぐ門を閉じることによってなされているとされるが、彼ら一族は掟に従い、その存在も活躍も公に語られることはないため、彼らの存在について知っているものはごく一部に限られているという。
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◆アールヴ族
旧時代以前から存在したとされる、人間とは別の文明体系を持った種族。
一部の記録書では、当時の人間以上に高度で洗練された文明を誇っていたとされ、人間に自らの技術が悪用されないよう、一族の血を継承する者のみにその英知が伝わるような、
その外観は人とほぼ大差がないものの、耳の形状が人間のそれよりもやや突出して長い傾向にあったといわれている。
旧時代の文明を崩壊させた大戦乱の後に、アールヴ族がどうなったのかについての記録は全く残されておらず、現在に至るまでその詳細は不明となっている。
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◆ミスパル
クリストハルトらがクレフ遺跡の地下で密かに大量製造していた、
それまでに様々な実験体を通して得られた知識と問題点とを考慮し、余計な感情を徹底排除することにより、自分たちの命令により忠実で、与えられた任務を遂行することのみに専心する、文字通りの操り人形のような存在であると考えられる。
しかし既に量産体制に入っていたと思われるその一個体が持つ能力は極めて高く、
ただの一体でも並みの人間たちでは全く歯が立たないほどの力を秘めていた。
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◆敏応(アルゴ)
特定の食物を摂取、あるいは触れただけで呼吸困難などの劇的な全身症状を示す不可思議な反応のこと。普通の人には何でもないものが、ある人には死毒になりうることから「死神の接吻」とも呼ばれる。
また、そうした食物の摂取以外においても、雀蜂などに二度続けて刺されることで同様の症状を呈することもあるとされる。
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◆界蝕(イロード)
かつて存在した技術大国ヤパルタは、未曾有の災厄によって滅びたと伝えられているが、その周辺地域にあった隣国の都市部では、人や家畜が次々と原因不明の病に見舞われて死亡したとされる。
それは目に見えない死の恐怖が、刻々と領域を侵していくような謎の現象で、後に界蝕(イロード)と呼ばれるようになった。
この界蝕による影響を受けた領域は、植物の帯化や巨大化などの奇形が見られることにより間接的に観測することが可能で、ヤパルタでの事変後、人々はその異常が見られた境界線上に沿って、それを囲むように城壁状の構造体を建造したという。
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◆妖獣化(ようじゅうか)
特に野生の獣が高濃度の妖気に長時間曝され、変異することを指す。
なお、このような変異をきたした獣のことを『妖獣』と呼ぶ。
基本的に体躯の著しい発達や性格の狂暴化などが見られ、散発的ながら各地での被害が報告されている。
もともとの知能が高く、社会性を持つ狼などの獣が妖獣化した場合は被害が深刻になることも多く、さらに変異した個体と正常の個体が交雑することにより、
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◆貴族院(きぞくいん/アリストス)
貴族や高位聖職者といった非公選議員により組織される、上院に相当する議院。
ロイゲンベルク王国やフィルモワール王国といった貴族制度が存在する国おいて、庶民院や代議院、または衆議院といった下院に対置される。
世襲貴族の中には、特権階級ならでは既得権益にしがみつき、財力と権力にものを言わせた金権政治を推進しようとする者たちも少なからず存在するが、一方で貴族は人の上に立つ高貴なるものとして、努めて無私であり、人間の規範として社会に貢献するべきであると、貴族のあるべき姿を訴える層も存在する。
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◆渡リ鴉(コルクラーベン)
ロイゲンベルク王国の貴族院が擁する防諜組織として、一部のものたちにその名前と存在とが知られていたが、長い歴史の中でその役割は次第に変容し、現在では同国に対して不利益を齎す障害や存在を、秘密裏に処理する役目を主とする組織と成り果てている。
基本的には密偵と防諜活動が行動の主体であるものの、暗殺を専門とする部隊も存在し、特定の貴族の命令によって対象の排除を行うこともある。
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◆葉陰黽(グレヌイユ)
フィルモワール王国が有する諜報組織。
大陸中に同組織から派遣された間諜が配置されているといわれている。
かつてフィルモワール王国は外的勢力からの度重なる侵略行為に曝されたため、現在でも他国からの諜報活動を妨害する防諜任務に注力しており、特にフィルモワール王国が誇る庇護領域『天の傘』内において発生した事案に関しては、どんな些細な事でも把握しているとされている。
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