用語集(現象・地名・組織・妖獣など)

1.作中登場用語(魔術以外)その1


【概要】


本ページでは、作中に登場した各用語(魔術以外)について解説します。

※作中では言及されていない項目も一部含まれている可能性があります。


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【目次】

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◆一般用語

 ◇妖魔(ようま/アニムス)

 ◇半妖(はんよう/セーミス)

 ◇悪気(あっき/ミアズマ)

 ◇妖気(ようき/ドルス)

 ◇妖霧(ようむ/ネビュラ)


 ◇統一言語(パリグラット)

 ◇アウル(通貨)

 ◇辻馬車(つじばしゃ/フィアクール)

 ◇駱駝車(らくだしゃ)

 ◇伝書鳩(でんしょばと)

 ◇水潯遊球(バロン・ド・プラージュ)

 ◇漏水病(ろうすいびょう)

 ◇背神罪(はいしんざい)


 ◇炎水(フロガム)

 ◇蟾酥(せんそ)

 ◇豚の膀胱(ぶたのぼうこう)

 ◇空詠士(メテオプロフェート)

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◆妖魔(ようま/アニムス)について


太古の昔より、世紀を跨ぐ間隔で何処からか集団で現れた、正体不明の種族。

多くの個体において、人間では持ちえない異能を有するとされる。


人との間には、これまで幾度となく大きな接触があったが、記録書によればその都度人間は大きな被害を被ることになったと記録されている。


なお、そういった歴史に残るような接触以降も、小さな接触や遭遇報告が、四半世紀に一度ほどの間隔ながら、各地で散見されている。


旧語が使われていた時代には、広く「アニムス」と呼ばれていたが、現在は専ら統一言語の読み通りに「ようま」と発話される。


妖魔の一部には人間の姿をかたり、長く社会生活に溶け込んでいる者たちや、『隠れ里(アサイラム)』(※)と呼ばれる場所において、妖魔同士あるいは妖魔の存在を容認する人間たちと共生しているという噂が存在する。


※『隠れ里』については別項目で解説


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◆半妖(セーミス)


妖魔と人間が交わった末に生み出された、両者の血を受け継ぐ存在のこと。


人間と妖魔は、これまでの歴史の中で幾度となく接触し、その度に大きな戦乱を巻き起こしていたが、中には人間社会に溶け込み、人間と密に交わって子孫を残したものも居るとされている。


旧い記録書の中には彼ら半妖について触れたものも存在し、信憑性自体は疑わしいものの、それによると親である妖魔の特徴や能力を部分的に受け継ぎ、それ以外はほとんど人間と変わらない姿をしているとの報告がなされている。


ただしその生まれの性質上、人間から迫害を受ける恐れが極めて高いため、半妖が自らの存在を明らかにすることはまず無いとされる。


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◆悪気(あっき/ミアズマ)


人々や家畜に病を齎す、邪悪な気の流れのこと。

今日こんにち存在する様々な疫病の元凶であるとされている。


主に腐敗した食物や人間を含む動物の屍体、あるいは妖魔の呼気や妖気から自然発生的に生み出されるものであると考えられている。


そしてそうした不特定の発生源から、大気や水源など環境中のありとあらゆる場所へと拡散し、その汚染された空気や水などを体内に取り込んだ人間が、病に罹患するとされている。


長く旧語である「ミアズマ」と発話されていたために、統一言語が普及した今においても、そう呼ばれることがほとんどである。


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◆妖気(ようき/ドルス)


妖魔が放つとされる生体波動のこと。

術士が曝露した場合はほぼ例外なく、明らかに異質な気配を感知するという。


最後に人間と妖気との大きな接触があったのは今から半世紀以上も前であるため、その特有の気配の感覚を知る者は少なくなっているが、多く背筋の芯が凍り付き、思わず身震いをしてしまうようなものであるとされる。


またこの妖気は、彼らが居た場所に長く残留する性質があるようで、長期間に渡り妖気に曝露し続けた動植物は、突然変異をきたすと考えられている。


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◆妖霧(ようむ/ネビュラ)


いわゆる妖気のようなものが、可視化されるほど高濃度になったもの。


これに曝露したものは、たちまちその生体組織に著しい変異を起こすとされ、現在各地で発見される妖獣も、これがもとで発生したと思われている。


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◆統一言語(パリグラット)


現在各国で公用語として位置づけられている言語のこと。


この普及によって各国で用いられていた母国語は旧語となり、人名や地名、魔術関連の用語、そして一部の借用語や語句を除き、急速に廃れていったとされる。


近代において、非常に高い文明を持ちながら未曾有の厄災によって崩壊したとされる、ヤパルタという国がかつて存在したとされているが、この統一言語はそのヤパルタの現地人と各国の貿易商人との間で使われていた、意思疎通を最優先にした接触言語がもとになっていると考えられている。


当時のヤパルタは現在の水準よりも遥かに高い技術力を持ち、今も各国で利用されている魔導器の原型を数多く生み出したとされていて、各国の識者たちはそのヤパルタで用いられている言語体系を理解しようと躍起になり、また活版印刷の普及も手伝って、新たな世代における公用語としての地位を確立していった。


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◆アウル(通貨)


主にロイゲンベルクの経済勢力圏内において流通している貨幣のこと。

価値の高い順に、金貨と銀貨、銅貨の三形態が存在する。


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◆辻馬車(つじばしゃ/フィアクール)


フィルモワールで発祥した都市交通の一形態。

貸馬車から派生したものだと言われている。


御者が道端で馬車を停留させ、町人の依頼に応じて相手の目的地まで運び、報酬を得るという形式を取る。


町内あるいは市内の主要な交通機関として利用されており、現在では各国の主要都市において普及している。


街道を通って町から町、都市から都市へと移動する長距離馬車も存在する。

かつて発祥の地であるフィルモワールでは「フィアクール」と呼ばれていた。


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◆駱駝車(らくだしゃ)


通常、車両や荷車を牽引させる輓獣ばんじゅうには馬や驢馬ロバ、もしくは牛などが選択されるが、マタール王国など砂漠地帯に存在する国や地域においては、『砂漠の船』との異名を持つ駱駝らくだが、その使役動物として利用されることが多い。


特にアシュ砂漠において、王家の霊廟が多く存在する南方公路を縦断する際には、専門の御者が駆るこの駱駝車が活躍しているとされる。


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◆伝書鳩(でんしょばと)


鳩が持つ帰巣本能を利用した遠距離通信手段。

古代から利用されていた記録がある。


往復鳩と移動鳩とがあり、後者のものについては移動先を変える相手にさえも届くよう専用の訓練を受け、さらに個人の識別を補助する物品によって実現される。


現在の帰巣率は通常で八割、よく訓練されたもので九割強となっている。


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◆水潯遊球(バロン・ド・プラージュ)


フィルモワールで発祥した、砂浜で行われる球技。

特定の領域内において二組に分かれ、定められた規則に則り得点を競い合う。


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◆漏水病(ろうすいびょう)


千年以上前から大陸各地で散発的に発生している疫病で、猛烈な下痢と嘔吐、そして低体温の症候を伴い、重篤な脱水症状に陥った後に死亡する。


ソフォラ・ロビニアという希少な薬草が、症状を快方に向かわせる薬効成分があることで知られているが、脱水症状により失われた水分を別に補う必要がある。


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◆背神罪(はいしんざい)


文字通り、神に背を向ける禁忌的な種々の行為を罪と定めたもの。

国によってその内容に差があるが、多く死罰を伴う重罪として認識される。


たとえば父母と同列以上の血族を殺害する尊属殺そんぞくさつは多くの国において非常に大きな罪として特に重く罰せられるが、国によっては同性愛による姦淫行為もこれと同等の重罪として見做される場合がある。


その他では妖魔と密通を結ぶ行為や人身売買が、これに相当する最大の禁忌として、ほぼ例外なく死罰が下される。


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◆炎水(フロガム)


近年に入り注目を浴びている、高濃度の天然魔素を含んだ液体状の資源。

独特の臭気があり、火気に反応して炎を生じる特性がある。


マタール王国の勢力圏において多く産出され、現在も採掘が進められており、含有する天然魔素が極めて高濃度であることから、魔鉱石マナライトに替わる新たな燃料資源として各国から注目され、その利用技術が急速に発展している。


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◆蟾酥(せんそ)


かえるが体表に分泌する液を乾燥させて粉末状にしたもの。


採取する蛙の種類によって効能が大きく異なり、その使用量によって薬や毒に変化するものもある。毒として利用される場合は、主に獲物を仕留めるための矢毒などに用いられている。


この矢毒に用いられる蟾酥は、全身の神経を麻痺させる強力な毒性があり、麻痺が進行すると呼吸が阻害されるため、そのまま死に至ることも多いが、口に含んだ程度では毒性を発揮しない。


狩人の間では、ジギト・テリビリスなる植物の葉を温風乾燥させた生薬が、この蟾酥に対して拮抗作用を齎すことで知られており、また強心効果もあることから呼吸の確保にも役立つとされている。


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◆豚の膀胱(ぶたのぼうこう)


豚の膀胱は空気を封入して膨らませると、丈夫な風船のようになるため、主に子どもたちの遊具として用いられるが、近年では『謝肉際(カルナヴァル)』などの祭事で犬猫などを投げる行為に対して、その代替品として利用されることも多い。


牛の皮を張り合わせることでさらに強靭性が増すため、現在はこれを利用した球技などが幾つか考案されている。


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◆空詠士(メテオプロフェート)


統計学と専用の観測機器を頼りに、天候の変化を予測する士業。

予測精度が特に高い者は、専用の試験を経て国に召し抱えられる場合がある。


予報は都市内にある専用の告示板などで広く発布され、最大で三日ほど先の予報を出すことも可能であるが、先の予報であればあるほど、その精度が低下する。


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