8.その他(関連用語)


【概要】


本ページでは、作中に登場した魔術関連の用語について解説します。

※作中では言及されていない項目も一部含まれている可能性があります。


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【目次】

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◆関連用語集

 ◇言霊(ことだま)

 ◇波動識(センス)

 ◇操気門(ストラータ)

 ◇魔導経路(ヴェイン)

 ◇魔核(ヌクレウス)

 ◇魔導列車(カテナ・カルス)

 ◇魔導船(アルカ・マリス)


◆錬金術(アルケミー)

 ◇旧錬金術(アルキミア)

 ▽録念珠(レコリア)

 ▽空中船(パッサローラ)

 ▽人造生命体(ホムンクルス)

 ▽偽核(コルスード)


◆古代遺構(レリック)

 ▽下水道(クロアカ)

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◆言霊(ことだま)


特定の術はその心象をより強く具象化する目的で、術者が自身の肉声に思念を乗せた音素(ソヌス)のこと。これにより安定した術の発動、および術効果の強化を図ることが可能となる。


中には特定の文言を詠唱することで初めて発動する術もあり、そういった一部の特殊な文言は、『世界の理』に何らかの干渉を及ぼしているのではないかと考えられており、かつてはそうした詠唱行為を『魔唱(カルミナ)』と呼んでいた。


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◆波動識(センス)


全ての術士が持つ生体魔素が放つ流れや妖魔が持つとされる妖気、または怪異から迸る異様な気配など、特定の性質を持った波動に対する識別能力のことを波動識という。


たとえば術士ではない人間は、術士なら誰もが捉えられる生体魔素の波動さえも認識することが出来ない。


未知の波動を異様な気配として感じる場合もあり、この波動識が鋭敏であればあるほど、密かに迫り来る危険を察知する能力が高いとされている。


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◆操気門(ストラータ)


人間の身体を構成している細胞の中に存在するという小器官の集合体を表す言葉で、旧時代の文献から得た情報によってその存在が知られるようになった。


現在の技術では直接観測する器具などが存在しないものの、四肢の付け根や胴体の中心部の辺りに存在しているとされ、実際に術士側の体感として、生体魔素が特に強く奔出するという部位と一致している。


同部位に異質な生体魔素が大量に流入すると、一時的にこの操気門が機能不全になるとの報告もあるが、大量の魔素の単純曝露においては、そのような影響が出ることは確認されていない。


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◆魔導経路(ヴェイン)


術士の生体内に存在するとされる、生体魔素を循環させる神経網のようなものと考えられているが、操気門と同様に直接観測する手段はまだ存在していない。


非常に強力な効果を持った術を行使するには、それ相応の生体魔素が必要となるが、時として個人が制御出来る限界を大幅に超える場合があり、そういった場合にはこの魔導経路に過負荷がかかり、不可逆的な障害を負う可能性があるとされる。


こういった理由から、術士の中には自身が運用可能な生体魔素の最大出力を抑える目的で、封紋を施している場合がある。


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◆魔核(ヌクレウス)


かつて存在した一部の種族や、旧時代の錬金術によって創出された人造生命体(ホムンクルス)が持っていた、人間でいうところの心臓に相当するもの。


旧い文献によると、周囲に遍在するあらゆる素子を取り込むと同時に自身の生体魔素へと変換し、さらに状況に応じて魔導経路を最適化する能力があるものの、魔核が一度活動を停止すると再び動きだすことは二度とないとされる。


また、生体魔素の最大出力も驚異的であるようで、最適化された魔導経路によって反動を被ることもなく、周囲に魔素が存在する限り半永久的に活動することが可能であると言われているが、当の一部種族や人造生命体が現存していないためにその真偽のほどは定かではない。


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◆魔導列車(カテナ・カルス)


近年に入り急速に普及した、通例二両以上の車両からなり、鉄道上を移動する新たな交通機関にして運送手段。寝台を備え、夜間に長距離を移動するものは特に星光列車(ステラ・カルス)などと呼ばれる。


先頭車両に魔鉱石を主燃料とする内燃機関を装備し、鉄道網の拡大に伴って長距離間の安定した輸送網を構築している。


ただし突発的な内燃機関の暴走事故や、魔導列車の台頭に伴って職を奪われると懸念した者たちによる鉄道の破壊など、様々な諸問題を抱えている。


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◆魔導船(アルカ・マリス)


大陸側から見て、遠方の海洋に浮かぶ離島などに渡る目的で利用され始めた、魔鉱石などを主燃料する内燃機関を動力源とする船舶の総称。


旧来の帆船などとは比較にならないほどの速度で航行することが可能で、風向きや海流などの抵抗を深く考慮せずに移動することが出来る。


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◆錬金術(アルケミー)について


旧時代から存在する術体系で、いわゆる金や銀ではない卑金属類を、金などの貴金属に精練するために様々な手段を用いたところに端を発する。


高度文明が大陸全土を巻き込む大戦乱によって崩壊するまで、現在では考えられないような特性を持った魔導器や素材を数多く生み出していたとされるが、その大いなる力が兵器に転用されたことで、当時の人間たちは自滅の方向を歩むことになった。


大戦後はその術体系の多くが失われ、関連する研究資料なども散逸したことで、永く失われた術として知られていたが、近世に入りヤパルタという国がその技術の一部再現に成功したことが端緒となって、錬金術の再興が起こった。


その後、情報秘匿のために鎖国体制に移行したヤパルタに何らかの未曾有の厄災が発生し、同国は歴史からその姿を忽然と消すことになるが、再現された錬金術の各技術がこれによって大陸の各地に広がり、この際に得られた知識が今日こんにち存在する錬金術のいしずえとなっている。


なお一説によると、ヤパルタから生き延びた一族はその後各地に散らばり、錬金術の力が持つ危険性を鑑みる一方で、その知識を途絶えさせまいと情報を暗号化した上で記録した秘伝書を、自らの一族のみに伝承する形式を執ったとされ、そういった家には代々彼らのみに伝えられている錬金術の秘伝があるという。


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◆旧錬金術(アルキミア)


旧時代に存在した、現在のそれとは比較にならないほど高度な錬金術のこと。


同時期に隆盛を誇っていたという『化相学(サピエンティア)』なる学問と並び、当時存在した高度文明を支える双璧として知られていた。


大戦乱による情報の散逸により知識の大半が失われたが、当時の技術では一度摂取すれば以降は食事を必要としない薬品や、破損しても自己修復する金属、さらには妖獣を合成した生物兵器などを人工的に生成していたとされる。


他にも空中を航行することが出来る空中船(パッサローラ)なるものや、都市の一つや二つは軽く消滅させてしまうほどの威力を持った爆弾など、現在の常識では考えられない法具が数多く存在していたとされる。


ただし一部の遺構や魔導器を除いて、その大半の実在は疑問視されている。



▼録念珠(レコリア)


所持者の想念や記憶などを封入し、自身や他者がその内容を確認することが出来るという玉珠。旧錬金術の技術によって製作された法具と考えられている。


内部に秘められた情報を引き出すには、対応する血紋などの特殊な鍵が必要になるとされるが、どういった原理によってそのような効果を齎しているのかは不明。



▼空中船(パッサローラ)


旧時代において高空を自在に飛び交っていたとされる空中移動機関で、一部の記録書においては、普通の移動手段の一つとして利用されていたという記述が存在するが、現在では後世に作られた創作であると、その実在を疑う研究者が大半である。



▼人造生命体(ホムンクルス)


旧錬金術が誇る神の領域にも等しい技術で創り出された、人造の生命体のこと。


主に魔素を運用する能力において、通常の人間では持ちえない資質を人工的な手段で付与し、さらに何らかの方法で本来発現し得る感情を意図的に削除し、その上で行動を制御する魔紋を刻印した魔核を活動源の中枢とすることにより、創造主の意のままに操ることが出来たとされる。


当時でも倫理的観点から様々な議論を呼んだことが古文書の記録から明らかになっているが、時折削除したはずの感情が萌芽する個体が複数出現し、やがて人間に従うふりをしながら徒党を組んで襲撃を行い、甚大な被害を齎したとされている。



▼偽核(コルスード)


旧時代において、人造生命体の活動源としては主に魔核が利用されていたが、その一部が自我を持ち、人間に対して反旗を翻した事件が発生した以降は、非常時の対策として特定の燃料供給が無ければ活動が停止してしまうような制限を施した魔核が生み出され、界隈ではそれを『偽核』と呼ぶようになった。


魔核が持つ、一度活動が停止してしまうと二度と再起動しないという性質をそのまま受け継いでおり、この偽核は活動に必要となる燃料の供給を断たれると、その機能を完全に停止してしまう特性を持っているとされる。


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◆古代遺構(レリック)について


現在、大陸の各地に散在する、旧時代の技術を以て建造されたといわれる構造物や施設の総称。今なお、その機能が生きているとされるものも存在するが、大半は何の目的で造られたものか判然としていない。



▼下水道(クロアカ)


旧時代に埋設されたと思われる遺構で、今日こんにち存在する大都市の地下などに多く存在しているが、地上から下水道への到達経路は保安上の問題にも大きく関わるため、原則秘匿されている。


この下水道を持つ都市の地下には、非常に広大な水網が広がっており、ここに流れ込む汚水は何らかの働きによって自動的に浄化され、自然の河川や海洋へと還元される仕組みになっているとされる。


現在は急速に普及し始めた水操管により、近くに自然湖や堰堤えんていによる人造湖などの水源を持つ都市部において、水の使用量が大幅に増加しているが、住居や工房などで使用された水はこの下水道へと流れる仕組みになっている。


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