3.魔現(マジック)


【概要】


本ページでは、作中に登場した『魔現(マジック)』について解説します。

※作中では言及されていない項目も一部含まれている可能性があります。

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【目次】

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◆魔現(マジック)

 ◇変現(シフト)

 ◇変現資質(シフトタレント)


 ◇援素法(アジュバント)

 ◇集素法(コンヴァージェント)

 ◇奪素法(ディプライヴ)

 ◇再帰法(リソーブ)

 ◇換現法(オーバーライド)


◆神理(アルケー)

 ◇転移法(テレポート)

  ▽空間連結法(インターリンク)

  ▽空間歪曲法(ディストーション)

 ◇転生法(リンカネーション)

 ◇時操法(カーラ)

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◆魔現(マジック)について


魔導コンダクトが自身の生体魔素によって、自身の身体能力や五感の強化、あるいは別の物質に働きかけてその形状や構成を変質させるのに対し、魔現マジックは自身の生体魔素そのものに働きかけ、術者の思念を強く具象化する能力、およびその行為自体を指す。


そうして術者が自身の頭の中で思い描いた心象を、生体魔素を用いて実際に具象化させる行為を『変現(シフト)』という。


魔現の能力は、生まれ持った資質にるところが極めて大きく、通常の修練によって磨くことが出来るのは具象化の速度と術の安定性、そして展開規模や発動の際に消費する生体魔素の低減などに留まる。


なお魔現の資質を持つ者は、ほぼ例外なく魔導も行使出来るが、その逆は前例がないため、術者界隈において魔導は魔現の下位資質であると見做みなされている。


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◆変現(シフト)


生体魔素を用いて、自らの頭の中に思い描いた心象を顕現けんげんさせる能力、またはその行為のこと。


通例術者は、炎や水、雷や風といった頭の中で想像することが容易な存在へと魔素を変現させるが、これは複雑な構造体を顕現させることが魔現の資質を持つ者にとっても至難であり、いたずらに魔素だけを消耗する恐れがあるためである。


また、変現の能力自体にも個人の資質が関与し、顕現の成否を大きく左右することから、術者は幼い頃から魔術学院などで、自身が最も強く具象化出来る存在を見定め、たとえばそれが炎であるとするならば、以後は炎の魔現に特化した修練を徹底的に積む、といった経過を辿ることが多い。


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◆変現資質(シフトタレント)


魔現の資質を持つ者全てが、皆同じように自身の思念を精確に具象化出来るわけではなく、術者それぞれに得手不得手が存在するが、その中で特定のものに対する、強い変現可能力のことを変現資質という。


仮に炎の具象化が得意であるならば、炎の変現資質に恵まれている、といった具合に評価されることとなる。


凡そ術士が持つ変現資質は一人につき一つで、二つの変現資質を持つものは稀であるが、三つ以上ともなれば歴史上でも数えるほどしか居ないとされる。


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◆援素法(アジュバント)


通例、魔現の発動には術士自らの生体魔素が用いられるが、周囲の自然魔素にも働きかけて変現の補助を行わせる技術があり、これを援素法という。


この技術を上手く活用することで、魔現の発動時に消耗する魔素を抑えることが可能だが、自然魔素に働きかけるためには、それ相応の強い思念が必要である。


なお、こうして術の発動に必要な魔素を低減させる行為を『節素せっそ』という。


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◆集素法(コンヴァージェント)


自身の生体魔素を一点に集束させる技術のこと。


思念の強さに応じてその速度や集束体の密度は増していく性質があるが、その制御は容易ではないため、多くの場合は魔導陣などの補助を必要とする。


またその際、制御限界を超えて過度な集束を行うと、集束体は安定性を保とうとして魔素の蒸発が始まるが、この際に失われる力がかなり大きいため、術者には適切な時機を見定めた上で、力場を解放して集束体を利用することが望まれる。


なお、蒸発を押し留めて集束を強行することも可能であるが、暴発事故の危険性が一気に高まるため、そのような行為は緊急時を除いて行われない。


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◆奪素法(ディプライヴ)


自らの生体魔素を媒体として、特定の相を強く示す自然魔素を変現させる技術。

援素法アジュバント』の応用法でもある。


たとえば、液素が多分に含まれる湖や海辺などにおいては、基本的に水の相を持つ自然魔素が環境中に充溢しているが、そういった場所では生体魔素を通じて自身の思念を周囲の液素に直接送出することにより、ほんの少しの生体魔素の消費だけで、水の魔現の発動が可能となる。


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◆再帰法(リソーブ)


魔現の発動後、急速に散乱する魔素の一部、もしくは大規模な魔現のあとに一時残留する魔素を素早く回収し、再び自らの生体魔素へと還元する高等技術。


自身の生体魔素が枯渇寸前になった際の切り札として用いられるが、非常に難度の高い技術で、魔導陣の介助なしで実現することは至難である。


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◆換現法(オーバーライド)


相手の放った魔現に自らの思念を上書きし、新たな魔現として発動する最上位技術。


現在、魔術学院で教鞭を振っている教術士や、王宮などで公務に就いている高位術士であっても、これを実際に行った者は数えるほどしか存在しない。


非常に高度な発動手段であり、魔現に対する深い理解と経験、そして相手の思念を大幅に上回る極めて強い意思力が無ければ実現不可能である。


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◆神理(アルケー)について


思念によって世の理に直接干渉する、神の領域にあるとされる術法の総称。

魔現の上位資質であるとされ、行使される術は文字通りの奇跡と呼ばれる。


現代の術士にとっては、旧時代に存在した秘術という認識ぐらいでしかなく、実際に行使出来る術士は、その術の影響力の大きさ故か、様々な危険に曝されることになるため、仮に居たとしても自ら名乗り出ることはないとされる。


実際、古の偉大な術士たちも、術が持つ力が悪意あるものに利用されることを防ぐため、神理に纏わる魔導書グリモアの類を、長い歴史の中で焼却、あるいは王令を受けて焚書を行ったとされるが、ごく一部は何処かに秘匿されたと言われている。


そういった背景から、術式の詳細は全く不明であるが、旧い文献から一部の術に関する情報と、実際にそれを使用したと思われる証左が各地に残っている。


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◆転移法(テレポート)


今在る空間から別の空間へと瞬時に移動する秘術。

短距離転移と長距離転移があり、後者は専用の魔導陣を要する。



▼空間連結法(インターリンク)


特定の空間の一部に干渉し、別の空間の一部と連結させる秘術。

術が有効である限り相互間の往来が常時可能となる。


▼空間歪曲法(ディストーション)


現空間における法則を無視出来る、亜空間という領域を形成し、それを自在に変形および展開維持させる秘術。


ロイゲンベルク王国が誇る最高峰の魔術女学院、ローゼン・アルカディアンに存在する『幻廊書庫』の不可思議な広さは、この秘術が使われた証左とされている。


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◆転生法(リンカネーション)


自己の生体から魂魄こんぱくを離脱させ、別の生体へと転送する秘術。

依り代となる生体側の精神は、転送後にほぼ例外なく消失するという。


旧い文献によれば、古の術者たちが死の定めから逃れるべく、数世代をかけて編み出したもので、旧時代においても生命倫理を根底から崩壊させる禁忌の術として、その使用を例外なく禁じ、同術に纏わる研究記録の一切を抹消したとされる。


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◆時操法(カーラ)


『時の理』なるものに直接干渉し、本来は絶対不可逆であるはずの時流を変化させてしまう秘術。


旧時代においても最大の禁忌であったとされ、術に関する記録はほとんど残されていないが、特定領域内の時流を緩めたり、あるいは相手が持つ時間感覚を喪失させる術法もあったとされている。


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