4.魔術(アルカナ)
【概要】
本ページでは、作中に登場した『魔術(アルカナ)』について解説します。
※作中では言及されていない項目も一部含まれている可能性があります。
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【目次】
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◆魔術(アルカナ)
◇拘束術(バインド)
◇治癒術(レストア)
◇保護術/防衛術(プロテクション)
◇探索術(ディテクション)
▽分析術(アナライシス)
◇照明術(カンデラ)
◇封音術(サイレンス)
◆幻術(ソムニア)
▽影像(シャドウ)
▽幻影(ファントム)
▽幻体(ドッペル)
▽幻景(トロンプ・ルイユ)
◇陣術(ヤントラ)
◇結界術(バイセーマ)
◇封印術(シーリング)
▽魔錠(クラウィス)
◇協奏術(ユニゾン)
◇思念転写(ソートグラフィ)
◇物質化/物質完現(マテリアライズ)
◇交心(テレパス)
◆魔法(マギア)
◇外法(ゴエティア)
◇死法(セイズ)
▽呪法(カース)
▽召喚法/召喚術(サモン)
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◆魔術(アルカナ)について
魔術とは、魔素を用いて発動する術の総称であるため、魔導や魔現も広義では魔術として扱われる。また、魔導と魔現のどちらにも属さない体系の術や、あるいはそのどちらの要素も併せ持った術なども含まれる。
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◆拘束術(バインド)
周囲の蔓性植物を魔導によって操作したり、魔素を用いて鎖状の構造体を一時的に生成したりして、相手を束縛する術の総称。
集束流や大規模な魔現など、発動にある程度の時間を要する術を行使する際、それを相手へと確実に直撃させるために用いられることが多いが、単純に相手を一時拘束して無力化する目的でも使用される。
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◆治癒術(レストア)
自身の生体魔素を利用して相手の損傷した肉体組織に直接働きかけ、当該部位を速やかに修復する、文字通りの奇跡とも称される術。
治癒術の資質を持ち、そして行使することが出来る術士は『療法士(ヒーラー)』と呼ばれ、いつの時代でも重宝されてきた。
術者は相手の損傷部位を一時的に魔導体とし、相手の怪我を治癒させるという強い思念で以てこの術を行使するため、治癒術は魔導と魔現、両方の性質を持った術だとされている。
治癒術は修練によって後天的に得られる術技ではなく、生来の資質によって能力の有無が決定されるため、同資質は古来より天からの授かりものであるといわれてきたが、治癒術を行使出来る術士は、全体の中でもほんの一握りに過ぎない。
親子間でもその才能が遺伝するとは限らないため、資質保持者は依然として少なく、術が作用する原理の解明は依然として進んでいない。旧時代の人間はその仕組みを理解していたようで、失った四肢でさえも再生させる魔導器さえあったとされる。
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◆保護術/防衛術(プロテクション)
魔導障壁や対抗魔現によって、相手の放った攻撃から身を護る魔導や魔現における術技の総称。魔導や魔現による攻撃に対する防御だけではなく、物理的な衝撃に対するものも含まれる。
魔導障壁の場合は、その組成や構造によって純粋な防護壁として機能する以外にも、反射や偏向、あるいは吸収といった種々の応用法が見られる。
対抗魔現の場合は、炎に対して水、雷撃に対して雷光弾を放ち誘雷させるなど、変質した魔素同士の特性を巧みに見極めることで様々な対処法が考えられる。
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◆探索術(ディテクション)
魔導定位や特殊な魔導域を自身の周囲、もしくは広域に渡って展開することによって、特定の物体の位置を探る術の総称。
展開領域の範囲やその精度は、術者の資質や熟練度によって大きく左右され、同じように物体を捉えても、漠然と何かがどのくらいあると判るだけの精度から、捕捉した相手の正確な数や、その形状に至って把握出来るものまで実に幅広いが、基本的に対象の位置を捉えることに最大の重きが置かれている。
中には、自身が頭の中に描いた心象と合致する物体のみを、数あるものの中から選定してその位置などを取得出来る者も存在する。優秀な者は、資源調査の名目で鉱床などの有益な資源を探り当てる用途においても重宝される。
▼分析術(アナライシス)
探索術から派生した体系で、魔導定位などで位置捕捉した対象の仔細を分析する術の総称。その形状はもとより生物種の判別や、対象よってはその内容物の分析までをも行うことがあり、行使出来る者は探索術と組み合わせて用いることが多い。
遺跡や古代遺構の調査においては、破壊を伴わずして様々な物品や構造の分析調査が行えるため、こういった術に長けた熟練者のもとには、調査団からの協力要請がよく届くことで知られる。
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◆照明術(カンデラ)
生体魔素を変化させ、爪先など自身の身体の一部を魔導体にして発光、あるいは周囲に向かって明るい輝きを放つ光球を生み出し、照明となる灯りを得る術の総称。
光を生み出すという思念を具象化する魔現的な側面を持ちながら、身体の一部を魔導体にして発行させる場合には魔導的な一面も見せるため、その術式によってどちらにも分類され得る性質を持った術である。
魔光灯や松明などの照明具を一切所持していない状態で、意図せず暗所へと放り込まれてしまった非常時において、視界を確保出来る利点が大きいほか、夜間に光球を打ち上げ、暗部に秘匿された敵部隊や兵装を確認する手段としても利用される。
その他の利用方法としては、一気に大量の魔素を注ぎ込めば強い光を放つことから、閃光によって相手の視界を奪うといった使い方も出来る。
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◆封音術(サイレンス)
封音領域(アネコイックフィールド)などを利用して、自身が発生する音の伝播を封じ込める術の総称。
多くは音を構成している素子とされる
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◆幻術(ソムニア)
相手の目を欺くことに主眼を置いた術技の総称。
非常に高度なものでは、相手の感覚そのものを狂わせる術も存在する。
なお後述する影像、幻影、および幻体といった名称は、術士界隈でもよく混同されることが多く、文字では同じでも、旧語で発話されない限りは、ただの「分身」といった意味合いで使われていることが多い。
▼影像(シャドウ)
特定の環境下において、生体魔素を用いて作り出される、術者と同じ魔素の反応を示しながら、その実体は持たない存在のこと。
濃い霧の中など、微細な液素が充満した環境下において、魔導を通じて一定領域に存在する液素を固定し、そこに生体魔素を一時的に注入することで、自分と全く同じ性質を持った魔素を持つ存在を作り出すことが出来る。
対象の位置を捕捉する魔導定位に対しても有効で、相手側からすれば、視界不良の中で同じ魔素を持つ存在が複数存在するように感じられる。
またそういった霧中や暗所において、こちら側が放つ体温を捉えてその位置を特定してくるような相手に対しては、生体魔素を使って自身の身体にある熱素ごと特定の位置に移動させることで、その位置を欺くことが可能となる。
▼幻影(ファントム)
自分と同じ魔素を持つだけでなく、全く同一の外観を持った、まさに分身といえる存在のこと。
自身の生体魔素に対し、強い思念を以て具象化する魔現である一方、周囲に放出した魔導流をほんの一瞬だけ固化し、時を移さず物質変化させるといった非常に高度で魔導的な術式も存在する。
幻影は基本的に自身の動きに追随するため、相手に攻撃を仕掛ける際に、その攻撃軌道を一気に複雑化させることで、大きな混乱を誘うことが出来るが、幻影には物理的な実体が無いに等しく、影が存在しないため、見破ること自体は可能。
▼幻体(ドッペル)
自分と同じ魔素と外観を併せ持ち、なおかつ物理的な実体を有する存在のこと。
実体があるため、当然のことながら光を受ければ地にはその影が映る。
幻体は耐久性を除けば術者の完全な複製体であるため、その思考力も継承しており、また発動時に所持していた装具も具象化される性質がある。存在を維持出来る時間はごく限られているものの、術が有効である限りは完全な自立行動が可能である。
物質完現(マテリアライズ)という特異な固有資質を持っていない限り、実現は不可能であるとされる。
▼幻景(トロンプ・ルイユ/ミラージュ)
魔導障壁や生体魔素で環境中の光素に直接干渉し、光を反射ないし屈折、もしくは回折させることで対象の存在を秘匿したり、本来そこにあるはずがないものを蜃気楼や幻日の如く見えるようにしたりする術の総称。
秘匿する対象の周辺に魔導陣を形成し、魔鉱石や自然魔素を利用するかたちで、常時見えないようにしておく術式も存在するほか、別の物体の姿を対象が存在する位置に映し出してその外観を欺瞞する方式など、様々な方法がある。
蜃気楼や陽炎など、自然が引き起こす光学現象については「ミラージュ」と区別して発話されるが、地方によってはその線引きが曖昧で、たとえ術によるものでも、短くて言い易い「ミラージュ」の方で呼ばれることが多い。
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◆陣術(ヤントラ)
発動に魔導陣を必須とする術から、特定の物体に魔導式などを施して陣の柱とする、特殊な魔導陣を形成して行使される術までを包括した呼称。
その陣型は起源不明のものも数多く、口伝で受け継がれているものも存在するが、もともとの陣術は、大陸の最北端にあるバルカーラ地方が発祥であるとされる。そのために同地方で使われていた旧語で呼ばれることは少なく、術士界隈でも単純に「じんじゅつ」と発話されることがほとんどである。
かつてはこの陣術から派生した『召喚術(サモン)』という異界の怪異を呼び寄せる危険な術が存在した。
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◆結界術(バイセーマ)
特定領域の境界線上において、その内外の往来や、相互間の干渉そのものを断絶する術の総称。陣術や封印術(後述)との相性が良いとされる。
その発祥は陣術と同じくバルカーラ地方であるようで、大陸各地に広まった後も今でいう旧語調の発話がされることはなく、通例は「けっかいじゅつ」と呼ばれる。
巨大な妖獣が出現した際などに、その動きを著しく制限する目的で広域展開されることがあり、その際には結界の維持に複数の魔導陣を用いることから、術式によっては陣術的な側面を強く持つことがある。
また、内部に特定の魔紋を刻印した魔石などを複数配置し、魔導陣を形成させることで結界そのものの強度や安定性を高めることも可能。このような魔石は要石(かなめいし)と呼ばれている。
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◆封印術(シーリング)
対象の行動や特定の能力を無力化したり、あるいは存在そのものを亜空間に封じ込める性質を持った術の総称。陣術や結界術と併用されることが多い。
主に非常に危険な相手の動きを封じる手段として使われるほか、相手の身体に『
大規模なものでは、手に負えない規格外の怪異に対する最終手段として使われた記録もあり、あるいはかつて存在した
なお召喚術に関連する古い封印術は、代々口伝や秘伝書によって伝承されている家系が今も存在し、そういった術法は門外不出となっている。
※『封紋』については別項で解説
▼魔錠(クラウィス)
魔錠が施された扉は鍵穴を必要としないため、特殊技術による不正な解錠に極めて強いことで知られる。このため、王宮などにおける宝物庫や禁書が収められた書庫には大抵、物質的な鍵を要する扉と魔錠を施した扉との二重構造になっている。
解錠方法は用いられた術式によって大きく異なり、中には特定の音素を決められた配列で発することで反応するものも存在する。
呼称に関しては、旧語由来の「クラウィス」と統一言語通りの「まじょう」が半々の割合で使用される。
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◆協奏術(ユニゾン)
複数の術士が協力して発動させる術法の総称。
大規模かつ非常に強力な効果を持ったものが多い。
効果自体は極めて大きなものの、下手をすれば術と術とがぶつかりあって暴発する恐れがあるため、術者同士の巧みな連携や信頼関係が必要不可欠である。
魔術学院における教育では、特定の方法で二人組や三人組を選定し、比較的長期に渡って行動を共にさせることで協調性と信頼関係を構築させ、こういった協奏術を段階的に学ばせる課程が存在する。
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◆思念転写(ソートグラフィ)
自身が頭の中に思い描いた心象を、自身の生体魔素を用いて実際の文字や図柄として特定の対象に刻印する技術のこと。略称は『念写』(「ソグラ」あるいは「ねんしゃ」と発話)。
刻印を施せるものは物質的な存在に留まらず、空間中に遍在する自然魔素に働きかけることで宙空にさえ刻むことが可能。修練を積めばこの仕組みを応用して空中に魔導陣を形成することも出来る。
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◆物質化/物質完現(マテリアライズ)
自身の思念によって作り上げた心象を、実体を持つ物質として具現化する技術、およびその固有資質のこと。
この能力を持つ者は、現実には存在しない性質を持った物質を生み出すことが可能で、自身の生体魔素を糧にして武具を生成したり、自身の完全な複製体である
ただし物質化された状態を維持するためには、術者による生体魔素の供給が不可欠であり、その存在の構造が複雑であればあるほど、より大きな力を必要とする。
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◆交心(テレパス)
自身の生体魔素を以て対象に働きかけることで、相手の思念や感情を読み取ることを可能とする能力およびその資質のこと。
対象は人間だけに留まらず、自然界に存在する動植物に対しても有効であり、言語を超越した精神感応と呼ばれる意思疎通を図ることが可能となる。
その能力が持つ性質から、資質を持つ者は能力のことを秘匿する傾向にある。また、能力の制御が出来ない場合は、常に周囲の存在が抱く思念が自身の意思とは関係なく伝播してくるため、自身の精神に大きな異常をきたす恐れがある。
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◆魔法(マギア)
地震や津波、噴火や隕石衝突などの天変地異を人為的に引き起こす禁術の総称。
現代ではそのほぼ全てが失伝状態にあるというが、その一部は口伝や暗号化された秘伝書などによって、ごく少数の家系において密かに伝承されているという。
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◆外法(ゴエティア)
既存の術体系の埒外にある、独立した術体系とその術を指す言葉。
たとえば妖魔が使用するとされる妖術も、その起源や原理が一切解明されていないため、この外法に含まれている。
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◆死法(セイズ)
以前は存在したものの、現在では禁止や失伝により利用法が失われてしまった術体系、あるいはそういった術を指す言葉。
ただし、表向きには消滅してしまったように考えられていても、実際には
▼呪法(カース)
かつて存在した術体系とされるが、ごく一部の少数民族間でのみ情報共有が成されたものが多く、まともな記録資料はほとんど残されていない。
『
▼召喚法/召喚術(サモン)
非常に複雑な魔導陣を用いて、異界に存在する聖隷獣なるものを呼び出し、何らかの媒体を介して術者が『契約』を結ぶことで、その獣が誇る力や異能を行使することを可能にしていたとされる術法。
かつては『契約』を結んで聖隷獣の使役を行う術士のことを『召喚士(サモナー)』と呼んでいた。
その『契約』に伴う代償や、あるいはその行為そのものに失敗することもあったらしく、そうして制御不能に陥って暴走した聖隷獣によって大きな被害が齎されることも多かったという。
時代を下るごとに術そのものの危険性が憂慮され、さらに後継者が不足していったために次第に廃れてゆき、今では行使出来る者が存在しないとされているが、密かにその再現を試みている一派が存在するという。
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