2.魔導(コンダクト)


【概要】


本ページでは、作中に登場した『魔導(コンダクト)』について解説します。

※作中では言及されていない項目も一部含まれている可能性があります。


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【目次】

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◆魔導(コンダクト)

 ◇身体強化術(インハンス)

  ▽転身術(トランシェンド)


 ◇物質変化(トランスミュート)


 ◇魔導域(マナスフィア)

  ▽魔導定位(マナロケーション)


 ◇魔導陣(サークル)

 ◇魔導式(フォーミュラ)

 ◇魔導流(マナフロー)


 ◇魔導障壁(バリアー)

  ▽魔導隔壁(インシュレーター)

  ▽封音領域(アネコイックフィールド)


 ◇魔導体(コンダクター)

 ◇魔導抵抗(リジスタンス)

  ▽伝導力(コンダクタンス)

 ◇熱導(サーモトランス)


 ◆魔導器(マキナ)

  ▽変音器(テルモス)

  ▽蓄冷器(フリジタス)

  ▽励熱器(フルヌス)

  ▽調理器(オーテプサ)

  ▽水操管(ヴァサルト)


 ◆魔導書(グリモア)

  ▽禁書(リベラ・プロヒビタス)

  ▽封印書(シギルム)

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◆魔導について


魔導(コンダクト)とは、自らの生体魔素を用いて自分の身体や物質に働きかけ、その能力や性質を変化させる行為を指して言う。また、こうして魔導状態にある肉体や物質を魔導体(コンダクター)という。


代表的なものでは、自らの身体能力や五感を飛躍的に向上させる『身体強化術(インハンス)』と、対象の構造や形状を大きく変容させる『物質変化(トランスミュート)』という技術がある。


魔導における能力行使の範囲や効果の限界は修練によって拡大するものの、個人の資質にるところが極めて大きく、才能に恵まれているものは、自身の髪の毛や幻術などで創出した分身すらも魔導体とすることが出来る。


なお、術士界隈では魔導(コンダクト)と旧語通りに発話されるが、そうではない一般の人たちの間においては、基本的に魔導(まどう)と呼ばれる。


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◆身体強化術(インハンス)


主に自分自身の身体、もしくは五感が持つ能力を強化する行為全般を指して言う。


他者に対して行えないのは、生体魔素というものが個人ごとに異なる性質を持つことに起因し、両者がお互いを打ち消そうとする作用を見せるためである。ただし、自身の魔素を自在に変質させられる特殊資質を持つ者は、この限りではない。


肉体の強化においては、筋力や強靭性の向上もさることながら、反応速度や認識能力の飛躍的な上昇も見込める。また視力などを強化すると、その視程はもちろんのこと、水中などにおける解像能まで高めることが可能。


能力上昇の限界は個人の資質や熟練度によって変化するが、基本的に強化の度合いが強ければ強いほど、その維持により多くの生体魔素を必要とする。



▼転身術(トランシェンド)


術者自身の身体そのものの構造や、纏っている衣服などの性質まで激変させる術。身体強化術の範疇に含まれてはいるものの、その能力の上昇度は比較にならない。


近代では失われて久しい術であり、個人の資質が不可欠であるとされるため、今現在行われているような魔導の修練によって得られるものではない。


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◆物質変化(トランスミュート)


自分自身の肉体ではなく、何らかの物質に生体魔素を注入して魔導体コンダクターとし、その性質や形状を変化させる術のこと。


多くの場合は自身の武具を強化、あるいは腕輪などの装具などに擬態させて携行性の向上や隠匿を行うために使われるが、水を氷などに変化させる使い方もあるため、術者の発想や能力次第でその用途は多岐に渡る。


一方で、自身の肉体に対して使うことは、予期せぬ不利益を不可逆的に被る可能性もあることから禁忌とされているが、転身術の始まりは、自身の肉体へ物質変化を行ったところに起源を持つともされている。


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◆魔導域(マナスフィア)


術者自らが展開する、魔導の影響を与えられる領域のこと。


通例、魔導による物質変化などは術者自身がその対象に直接触れる必要があるが、この魔導域を展開することで、領域内に入ったもの全てにその影響を与えられるようになる。


領域の範囲や影響度合いは、術者の熟練度に大きく左右され、展開を維持するためには、その規模に比例した量の生体魔素を消耗する。



▼魔導定位(マナロケーション)


魔導域内に生体魔素を含んだ波動を流した場合、領域内に物質や人などの障害物があると特有の反響が得られるため、その反応を頼りに対象の位置を凡そ把握することが可能となるが、こういった技術を魔導定位という。


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◆魔導陣(サークル)


魔導の効力を増加させたり、術を安定化させたりする目的で展開する領域。


周囲に存在する物質(地面も含む)などに、それ単体で特殊な効果を発現する図式や術式を直接記述、または『思念転写(ソートグラフィ)』(※)を行うことで形成する。


思念転写では空間中に描くことも可能だが、その場合は安定維持が極めて困難であるため、短時間で消滅してしまうことがほとんどである。そういった性質から、魔素を高速で集束してすぐに射出する攻撃術などとは相性が良い。


また数ある術の中には、こういった魔導陣が無ければ発動すら出来ないものも少なからず存在し、そういった術は『陣術(ヤントラ)』(※)と呼ばれている。


※『思念転写』、『陣術』については別項で解説


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◆魔導式(フォーミュラ)


魔導陣の中などに記述され、特定の効果を発現する図式や術式の総称。

旧語文字や『魔紋(ロガエス)』と言われる図柄によって構成される。


魔導式は、用いられる文字の配列や図式の並べ方によって、全く異なる効果が表れるが、その原理については多くが未解明のままであり、ほとんどの式は旧時代の文献から得られた情報を参考にしたものに過ぎない、とされている。


※『魔紋』については別項で解説


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◆魔導流(マナフロー)


自身の生体魔素を含んだ波動の通称。


魔導陣を用いた魔導定位に利用されるほか、極めて高濃度に凝縮されたものは思念転写による魔導式の記述などと組み合わせ、純粋な攻撃術としても利用される。


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◆魔導障壁(バリアー)


性質の異なる魔素同士が見せる、お互いを打ち消したり、反発したりする作用を利用して、相手が集束して放った魔導流マナフローや『魔現(マジック)』(※)に抗する防御壁として展開する術が存在し、それらをまとめて魔導障壁バリアーと呼称する。


なお、展開中の障壁の構成や形状を巧みに変化させたり、多重構造にすることで堅牢性の向上を図れるほか、条件次第では攻撃の反射さえも可能となる。


※『魔現』については別項目で解説



▼魔導隔壁(インシュレーター)


あらゆる魔導効果を完全に無効化する、特異な性質を持った障壁のこと。


古代遺構内において、今も稼働状態にある防衛機構の一部にみられ、物理的な衝撃に対してもその全てを吸収してしまう。


現代の技術ではその再現はおろか、原理の解析すら不可能である。



▼封音領域(アネコイックフィールド)


音を伝える素子である、音素(ソヌス)を封じ込める領域のこと。


領域内の空気中に存在する熱素に音素を強制結合させ、領域外に熱として散乱させる効果を持った、魔導障壁の一形態でもある。


これにより領域の内側で発した音が外側に漏れないようにすることが可能となるが、同時に外側から伝播した音も全て遮断してしまう欠点もある。


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◆魔導体(コンダクター)


術士が持つ生体魔素を帯び、魔導による変化を受け付ける状態となった物質を指す。


物質の種類によっては魔導体になりやすいもの、なりにくいものがそれぞれ存在するが、基本的に如何なる物質も魔素を加え続ければいずれは魔導体となる。


このことは、既にある者によって魔導体となった物質を、自らの魔素によって新たに別の性質を持つ魔導体に変化させる時もまた、同様である。


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◆魔導抵抗(リジスタンス)


生体魔素の流れにくさのこと。物質ごとに大きく異なるほか、不純物の含有度によっても著しく変化するため、定量化はされていない。たとえば同じ水といってもその純度や温度、あるいは淡水と海水とは相当な差がある。


大地も土壌が水分や湿気を含んでいる場合は比較的通り易くなるものの、乾いた土地や砂漠などでは非常に通り難くなることで知られる。



▼伝導力(コンダクタンス)


生体魔素の流れやすさのこと。

魔導抵抗の逆の概念として知られる。


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◆熱導(サーモトランス)


全ての物質には熱素(フェブリス)という、熱を構成する要素があると考えられているが、これを生体魔素によって刺激、もしくは熱素と結合させて熱を移動させることを熱導という。


現在、この熱導を利用した機構は様々な分野において活用されており、現代生活の質を一気に向上させたと言われている。


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◆魔導器(マキナ)


旧時代に用いられていた、様々な魔導効果を利用した機器の総称。


今現在使われているものの多くは、かつて大陸内に存在し、高度な文明を誇っていたとされる国家ヤパルタから交易人や隊商を通して流出した、原理不明の魔導式を利用する技術や、当時存在した魔導器を再現したものが原型であると言われている。


なお、魔導器に関する技術はそのほとんどが各国ごとに機密指定となっているため、同じ目的で製造されたものでも操作方式や能力が大きく異なったり、必要となる資源や技術的な問題から普及率にもかなりの差が見られる。



▼変温器(テルモス)


熱導に纏わる魔導式と、錬金術によって得られた冷媒という特殊な物質を用いて、一定領域内の気温を調整する魔導器。近年になって小型化されたが、依然として非常に高価な設備であるため、富裕層の住居や特定の施設内でのみ見られる。


▼蓄冷器(フリジタス)


変温器と類似した技術が使われている、氷室ひむろのような低温領域を維持する能力を持った箱型の魔導器。


こちらも変温器と同様に極めて高価な機器であり、その活動維持にも一定の資源を要するために富裕層でしか導入が行えないのが現状である。


▼励熱器(フルヌス)


物質中に存在する熱素と液素とを人工的に生成した魔導流で強く刺激し、その表面と内部を加熱する箱型の魔導器。


畜冷器ほど高価ではないため、富裕層以外でも、先進国では高級料理店の厨房などには配備されていることがある。一方で加熱の調整には慣れが必要で、機器の操作に不慣れな者が扱うと、中に入れたものを焼き焦がしてしまうことがある。


▼調理器(オーテプサ)


調理における利便性を向上させるために作られた魔導器の総称。


文献による記録では、かつて高い文明を誇っていたヤパルタでは米食文化が特に盛んであり、炊飯に特化した魔導器までも作られていたとされ、当時交易関係があったという一部の国では、その技術を再現した専用機器の姿が見られる。


その他、投入した食材を粉砕および撹拌する能力を持ったものや、投入した水を煮沸させ給湯する機器なども存在する。


▼水操管(ヴァサルト)


住居や工房などに水を供給する輸送管の総称。近くに水源がある都市や先進諸国の首都で見られる。近年では熱導機構の登場により給湯も可能となっている。


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◆魔導書(グリモア)


魔導式に用いられる、特定の語句や図形の意味を仔細に渡って解説し、現在までに判明している術の発動原理や応用法などを、分野別に網羅した書物の総称。


一般的に魔術学院内に設けられた専用の書庫などに多く保管されており、外部への持ち出しは専用の許可を取らない限り不可能となっている。



▼禁書(リベラ・プロヒビタス)


魔導書の中でも、特に影響の大きい術法に関しての記述がある書物のこと。

この指定を受けた書物は厳重に管理され、その閲覧が厳しく制限される。


術士界隈での呼称は単純に「リベラ」、もしくは統一言語による表記通りに「きんしょ」と発話される。



▼封印書(シギルム)


かつて存在した術体系の一つである『召喚術(サモン)』(※)で用いられた、特殊な魔導書のこと。


その中には召喚士(サモナー)の命令に従う『聖隷獣(フォルゲンガイスト)』(※)なる存在が封じられており、その危険度に応じた分類指定がなされていた。


※『召喚術』、『聖隷獣』については別項で解説


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