第37話 宇宙船レッドドワーフ号

「宇宙船レッドドワーフ号」とは、英国BBCが誇る名作SFシリーズである。



どういう話かを一言で説明するのは非常に難しいが、ようするにスタートレックのような宇宙船もののSFであることは間違いない。



登場人物で人間はただひとり。最下級の落ちこぼれ船員であり、船内の自動販売機などのメンテナンス(の手伝い)をする三等技術士リスターだけ。



第一話("The End")で、彼以外の船員は全員死亡してしまう。


リスターだけが未検疫の猫を飼っていたことが発覚して、時間停止カプセルに拘禁されていたため、放射能漏れ事故から免れたのである。


本来の拘禁期間は18ヶ月だったのだが、船のコンピュータが放射線レベルが安全になるまで収容しつづけたため、彼が出てきたのは事故から300万年後であった。


そして、300万年後に出てきて、最後の人類となったリスターは目的もなく宇宙をさまようという何とも救いようのない話なのである。




この作品、人間はリスターただひとりなのだが、他に一風変わった登場人物が存在する。



IQ6000の天才コンピュータ・ホリー。(コンピュータなので顔しか登場しない)


リスターの猫の子孫で猫から進化したネコ・サピエンスのキャット。


リスターの嫌味な上司で、リスターの孤独を紛らわせるためにコンピュータがホログラム映像として復活させたリマー。(その印に彼の額にはHの文字がある)


難破船から救出したお手伝いアンドロイドのクライテン。

(もちろん動きはカクカクしている)


この5人が秀逸ともいえるシリアスなSF設定とは、まるで関係なく下品極まりないギャグを繰り広げる物語である。



誰もいなくなった巨大宇宙船で流されるままにひとり宇宙をさまよう。無限ともいえる暇な時間の中で繰り返される果てしない珍騒動は、まるで人生の縮図を見るようでもある。





ちなみに日本では、90年代後半にNHKの金曜深夜枠で(Mr.ビーンの後番組として)放映されていた。が、あまりに下品すぎたのか、全くといっていいほど認知されることなく放送は終了した。

(僕を含め)一部の熱狂的なファンと一言の迷セリフを残して。



「俺達いったいどこに行くんだろうね?」

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